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音楽利用トラブル回避ガイド

2016年01月09日 (土) 音楽利用トラブル回避ガイド

楽曲コンペはあとフォローが大事!

新曲をリリースする際に作家事務所や作曲家から広く作品を募集し、 そのなかから採用するのが「楽曲コンペ」。ここで大事なのは、採用不採用かかわず、 応募してくださった作家たちへのあとフォロー。くれぐれもお忘れなきように!

解説

楽曲コンペとは、アーティスト事務所やレコードメーカーが楽曲をリリースする際に、作家事務所や作曲家から広く曲を募集して、複数の応募曲のなかから採用する曲を決定する方法のことです。コンペの主催者となるアーティスト事務所やレコードメーカーは、リリース楽曲のアーティストや希望する曲のイメージ、リリース時期、タイアップ情報、納品形式、募集期限等の情報を明示して曲の募集を行います。

コンペを開催することによって、主催者は短期間で様々な候補曲を集めることができ、また、作家は経歴に左右されずに応募資格を得ることができるメリットがあります。

そして、作家にとっては曲が採用されれば著作権使用料収入が見込めるだけでなく、楽曲がヒットした場合には知名度が上がって次のビジネスチャンスも生まれる可能性があることから、楽曲コンペは音楽制作の現場で長年にわたって採用されてきた方法です。

人気アーティストのコンペでは応募数が膨大な量に上りますが、応募数の多寡にかかわらず、主催者が忘れてはならないのが、不採用となった曲の作家に対するフォローです。

Aくんは、採用曲決定後のレコーディングの準備に追われて、不採用曲の作家への連絡を怠ってしまいました。

コンペの結果が出るまでの間は、その曲をほかのコンペに応募することは通常できませんので、不採用の結果を知らされない状態が続けば作家は経済的な不利益をこうむることになります。

また、楽曲コンペには、評価の高い曲の作家への回答を一定期間保留する、楽曲のキープという仕組みがあります。

楽曲リリースの際に、タイアップ先のクライアントの意見を確認しながら採用曲を決定するケースでは、複数の楽曲がキープの対象となることがありますし、対象のコンペで不採用となった場合でも、別の機会で採用を検討したいという理由でキープが行われる場合もあります。

主催者が楽曲のキープを行う場合には、最終的な結果の通知を忘れずに行い、特に、キープの要望を伝える際に、あわせてその期限を明示することは大切なポイントです。

キープ期限を通知することで、作家は曲が採用されなかった場合の計画を前もって立てることができますし、主催者は期限の明示がないまま長期にわたり採用の連絡がなかったことによって、採用予定曲が別のコンペに応募されることや、採用予定曲の一部が改変されてほかのアーティストへ提供されるといったトラブルを回避することができます。

コンペの応募曲であっても、その作家は、自身の曲を公表する権利をはじめとする著作権を持っています。

コンペの主催者は、不採用となった曲の作家に対しても、その経済的側面や著作権を意識した対応を心がけましょう。

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