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特集

2019年05月24日 (金) 特集

Lesson 2 MV監督インタビュー
映像制作を目指す人にアドバイス!

マザーファッ子さん

叙情的な色合いで情景を映し出す、新感覚の映像が評判のマザーファッ子さん。ここでは、映像制作をしてみたいという若き才能に向けて、具体的なノウハウを含め、アドバイスをいただいた。

趣味でつながった相手だと阿吽の呼吸で伝わるので、
街に出るといいことがあるかもしれない。

一眼カメラ、三脚、ジンバル、ライト2灯、スモークがあれば

マザーファッ子さんはどうやって映像を撮り始めたんですか?

大学で映像の勉強をしたあと、新卒で制作会社に入って、そこからフリーランスの映像作家になりました。

初めて作ったビデオは?

Kick a Showの「友達以上恋人未満」というアニメーションのMVです。ロトスコープ(実写映像をもとにアニメーション映像を作る技法)でひと月かけて作りました。そのときは実写映像の作り方がよくわからなくて、ラフに撮った映像の上から絵をつける感じでした。

準備不足だったことや、先に知っておくべきだったと思うことはありますか?

カメラをまわして実写映像を作るのは敷居が高いことだと思っていたんですけど、今思えば自主でやってみても良かったと思います。そのほうが早くステップを踏めたなと。あと、カメラとジンバルを去年買ったんですけど、思っていた以上に安かったんです。なので、もっと早いうちから機材を揃えて制作しておけば良かったですね。

照明に関してはいかがですか?

制作予算が30万円ぐらいだと照明部さんを入れるのが難しいので、自分が持っているLEDライトで対応できる広さのロケ地か、自然光を使って外で撮りますね。

最低限必要だと思う機材は?

私の場合は、一眼カメラ、三脚、ジンバル、ライト2灯、スモークがあればどうにかなります。スモークは私の趣味なんですけど、バキバキに撮るよりはスモークでぼやっとさせたほうがカッコいいと思うし、女性の場合は肌がきれいに映ると思います。カメラは一眼じゃなくても今はスマホにつけられるカメラでもきれいに撮れるので、それもいいかもしれません。

作品作りでこだわっている点は?

色味ですね。私はサイケデリックな色味が好きなのでそういうテイストを入れています。あとは説明的な映像はあまり撮りません。ストーリーっぽく撮ると順序立てたカットが必要になって、そういうのも素敵なんですけど、私は曲を聴いて浮かんだ情景をそのまま画に落とし込むことを意識しています。

「0時ちょうど」 Kick a Show
(C)Rambling RECORDS Inc,

1アイデアをプラスして違うアプローチをすることが大事

MVに予算があまりかけられないアーティストにアドバイスするとしたら?

1アイデアをプラスすることでしょうか。たとえば、渋谷を歩きながらリップシンクをするというMVがたくさんあります。華やかで撮りやすい街となるとどうしても渋谷になるので。だけどそんななかでも違うアプローチをすることが大事だと思います。Kick a Showの「0時ちょうど」というMVは、渋谷でiPhoneを使って撮ったものをアニメーションにしています。渋谷+ほぼオールアニメーションというパターンはあまりないので、一味違った渋谷の映像ができたんじゃないかなと思います。

渋谷はロケに適しているんですね。

いろんな方が渋谷で撮影しているし、YouTuberさんもたくさんいるので、カメラを持っていても気にされにくいんです。

ロケ地選びのコツは?

最近はインスタで見つけたお店にDMを飛ばしたり、グーグルマップを見て探したりすることもありますね。

新人ディレクターへのアドバイスは?

撮影スタジオや機材はどうしてもお金がかかるので、そこは予算内でどうにかするしかないんですが、カラコレやエフェクトなどのデジタル的なものはこちらの努力次第でわりとどうにかなることがあるので、それはなるべく考えてる企画の再現をしたいところですね。

そもそも、ディレクターはどうやって探せばいいんでしょうか?

アーティストさんからすると、今はディレクターを見つけやすい時代だと思います。YouTubeやSNSがあるので、気になるディレクターにDMを飛ばしてみてもいいと思います。

身につけておいたほうがいいスキルはありますか?

技術的な面というより、私は横のつながりに助けられてます。大学時代にクラブやライブハウスによく遊びに行ってて、そのときに知り合ったアーティストさんやカメラマンさんと一緒に仕事をすることが多いんです。そうやって趣味でつながった相手だと、仕事でも阿吽の呼吸でやりたいことが伝わったりするんです。なので、街に出るといいことがあるかもしれないですね。

PROFILE

映像制作会社SEPを経て、DJやVJをやりつつ、フリーランスでMV制作を始める。これまでにKick a Show、SIRUP、あっこゴリラ、ZEN-LA-ROCKなどに関わる。

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