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現場マネージャー物語

2019年01月18日 (金) 現場マネージャー物語

#129 amazarashi、Nulbarich等担当 平田幸秀さん

株式会社レインボーエンタテインメント

平田さんは同社取締役として、所属アーティスト(amazarashi、Nulbarich、ササノマリイ、ちゃんみな、TRI4TH、DEPAPEPE等)のプランニング、イベントブッキング、タイアップのコーディネート等から現場まで、プロデューサー的な立ち位置で関わっている。マネージャーとはどういうものであるか、ということを中心にお聞きした。

アーティストの可能性を広げるのが仕事。 だから柔軟性と責任感は大事ですよね。

マネージャーも1人の人間なので 個性も得意分野も違いますし

平田さんは、マネージャーとはどういうものだととらえてらっしゃいますか?

一概には言えないですね。弊社にもマネージャーはたくさんいますけど、マネージャーも1人の人間なので、個性も得意分野も違いますし。現場の統括マネージャーとして、うちには僕よりずっと優秀だと思っているスタッフもいますよ。とても信頼しています。自分の得意なことを中心にやりつつ、人に頼んだほうが良いことはお願いして進めるのも大事なことだと思うんです。でも責任の所在は自分にあることを忘れないようにアーティストをマネージメントするということだと思います。

やり方はどうあれ、責任を持ってマネージメントするということは変わらない。

アーティストの可能性を広げるのが仕事だと思うので。マネージャーがその可能性を狭めてしまわないようにしないといけない。だから柔軟性と責任感は大事ですよね。

イチから関わられたamazarashiとNulbarichは、それぞれどうしてマネージメントしたいと思ったんでしょうか?

本音で、amazarashiもNulbarichも一聴して惹かれたというのが大きいですね。ライブを観る前に、“あ、これはすごいな”と思って。あとは個人的に好きな音楽だというのもあります。青春時代に培われるものってあるじゃないですか。常に進化する2組ですが、当初のデモはそこにグサッと刺さったというのも大きいと思います。

“売れる!”という思いが先ではなくて、“好き!”というのが先だったと。

その正直な気持ちって、メディアとかファンの方々にも伝わりますよね。“売れそうだからやろうかな”と思っても、中途半端な気持ちで始めたら、ともに成功するのはなかなか難しいと思うんです。その“好き”プラスアルファでマーケティングは考えたとしても、基本はやっぱりそういうところのような気はしますね。古風ですけど。

最終的に、ステージが 始まったらアーティスト次第

amazarashiもNulbarichも11月に初武道館をやりました。武道館に送り出すというのは、マネージメントとして、ものすごくうれしいことですよね。

やっぱり感動しますよね。達成感も半端ないですし。でも、その当日まで各セクションのスタッフが限界を超えるまでがんばるじゃないですか。みなさんそうだと思うんですけど、ものすごい準備して、一個ずつ確認して、当日を迎える。でも終わったときに思ったのは、最終的に、ステージが始まったらアーティスト次第なんですよ。裏方は裏方でやることは半端なくありますけど、強烈なプレッシャーのなか本当に素晴らしいパフォーマンスをしてくれて。“ああ、感動させてもらったな”みたいな気持ちはありますね。

マネージメントをこれまでしてきて、逆にものすごく大変だったことというと?

大変だったこと…。

やめようと思ったことはないですか?

ないです。いいアーティストと出会えて、やりがいを持って仕事できていますからね。

伝わる音楽は言語が違えど 世界中で通用する

素晴らしいです。この号には中国の特集記事も掲載されるんですけど、御社は早い段階からアジア圏に行かれていますよね?

うちは5年以上前から海外というかアジア圏、特に中国に行ってますね。どうやってライブしたらいいんだろうというところから、会社のメンバーと一緒に現地のライブハウスに行ったり、関係者に会ったり。本当にそのレベルから始めていたんですけど、そのなかでいろいろな人と出会って、今やらせてもらっている感じですね。

さらに広く、世界という意味では何か考えていることはありますか?

ものすごくポジティブに考えています。本当に人に伝わる音楽は言語が違えど世界中で通用すると思ってますし。それを念頭に置いて、海外展開を考えてますね。

自分にこれだけ刺さったんだから、同じ思いの人はほかにもいるはずだし、それは世界中にいるはずだと。

そう、それをマネージメントとしてどう伝えるかだけですよね。今はレコード会社ともいろいろ共存して、興行だけでなく、ストリーミングサービスを含め、現地法人と組んでビジネスキームが作れる時代になっているので。ものすごく今はポジティブに考えて先に進んだほうがいいだろうなと思うんですよね。

なんでも、平田さんは30才を過ぎてから英語を習い始めたのだとか。

そうですね(笑)。中国か台湾かどこかに行ったときに、このままだと直接人脈を作ってほかの人より先にリーチして動くみたいなことはできないなって、一瞬で感じたんですよ。それで英語と中国語の勉強を始めて。

中国語も!

スカイプですけど(笑)。英語も中国語も同時くらいに始めて、まだまだなんですが、やっぱり英語のほうが下地があるので学びやすかったですね。中国語は現地であまりにも通じなくて、そこで挫折しました(笑)。

気になるメディアには 早いタイミングで会いに行く

今話に出たストリーミングに対してはどう思っていらっしゃいますか?

昔からものすごくポジティブでしたね。実はこの間、Spotifyの方から、一番最初にプロモーションに来てもらったのが僕でした、みたいなメールをいただいて。

そんな早くから目をつけていたという。

日本でローンチする前だったんですけど、やっぱりこのメディアで仕掛けてみたいなと、当時から思ってました。

その頃からストリーミングへの期待値が高かったわけですね。

みんなが行く前ならこれからのアーティストでも相談してもらえたりするかなと(笑)。気になるメディアには早いタイミングで会いに行くようにしています。

なるほど。2019年、音楽シーンがどうなっていってほしいと思っていますか?

音楽シーンについてはおこがましくて僕が言えることでもないので、自分としてどうしていきたいかで言うと、いろいろなアーティストに関わるようになり、今は音楽関係の方だけでなく、ファッション関係の方や今まで関わることのなかった業界の方など、様々なジャンルの方とお仕事する機会が増えてきたんですよ。とても純粋な趣味の話から始まって、いろいろな仕事が生まれてきていて。それが楽しくて。それをしっかり、アーティストにもっと還元できる年になればいいなと思いますね。

カバンのなかはスッキリさせ、資料類は基本、データで管理。ガムはちょっとしたときの息抜き用に常備。PCはMacで、スケジュールから音源データまで管理している。

1. ガム    3. PC(Mac)

2. 携帯電話

amazarashi Nulbarich

amazarashiは青森在住の秋田ひろむを中心とするバンドで、絶望のなかから希望を見出す辛辣な詩世界を持ち、スクリーンをステージ前に構えタイポグラフィと映像を映し出し行われる独自のライブを展開する。NulbarichはシンガーソングライターJQがプロデュースするバンド。親交の深い仲間とともに、スタイル、シチュエーションなどに応じたベストなサウンドを創り出す。

http://www.amazarashi.com/ http://nulbarich.com/

最新作はコレ!

new single「さよならごっこ」amazarashi

ソニー・ミュージックアソシエイテッド/2019年2月13日発売

new album『Blank Envelope』Nulbarich

ビクターエンタテインメント/2019年2月6日発売

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