音楽にまつわる「ちょっといい話」

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第36回 地球平和を目指す魔法のスピーカー[エムズシステムスピーカー]

今回のゲスト

今回のゲスト

三浦光仁さん

(有限会社エムズシステム代表取締役)
1955年、岩手県生まれ。上智大学卒業。大手百貨店のバイヤー、アマゾンの森を守るNGOでの環境保護活動を経て、2000年に経営コンサルティング会社としてエムズシステムを設立。2003年に総合音響メーカーに職種変更し、2004年よりエムズシステムスピーカーを発売開始。

 革命とも発明とも言えるスピーカーがある。「エムズシステムスピーカー」がそれだ。1本の小さな円筒状のスピーカーだが、波動のように360度に音が広がる、つまり聴く場所を選ばず、しかも10数メートル離れても音はほぼ減衰しないし、つい立てがあるくらいのデッドポイントでも支障なくクリアに聴こえる、魔法のようなスピーカーだ。今回は、このスピーカーを手掛けるエムズシステムの三浦社長にご登場いただいた。

空から降ってきたスピーカーを抱きとめたとしか言いようがない

 三浦社長の経歴からしてドラマチックだった。長年務めた有名百貨店のバイヤーをやめ、アマゾンの森を守るNGOに参画したのち、2000年にコンサルティング会社を起こし、2003年にエムズシステムスピーカーの原型に出会い、2004年に販売開始。まずは、ここに至るまでの経緯をうかがった。

有名百貨店のバイヤーからNGOへ、というのもなんだかすごい流れですけど。

ははは。ただ、1年で退職金もなくなり家もなくなり(笑)。何か仕事をしなくてはいけないということでエムズシステムを立ち上げたんですが、売るものも仕入れるお金もないですから(笑)。それで経営したこともないのに経営コンサルタントを立ち上げて(笑)。20世紀は、ものを作り、ものを動かすと利益が出てきたんですが、その結果、地球上に膝が埋まるくらいまでゴミを作ってしまった。21世紀は、本当に人にとって良いものだけを作り、それを動かすことによって利益が生まれていくのであれば、永続的により良い環境ができて幸せに生きられるんじゃないかということを、経営コンサルをしながら広めていこうと思ったんです。で、その会社を2000年に立ち上げて、3年間やっていたところに、このスピーカーがやってきたんですね。

ご自身で開発されたわけではなく?

はい。このスピーカーの原理原則を開発された方がいらして、その方が、別にコンサルを受けに来たとかでもなく、たまたまうちに持ち込まれたものだったんですね。

友人などでしょうか?

というわけでもなく。だからもう「空から降ってきたスピーカーを抱きとめた」としか言いようがないんですけど(笑)。私は1日中音楽を鳴らしている人間でもあったので、事務所にもスピーカーを4つ入れて鳴らしてたんですね。そこにこのスピーカーのプロトタイプが持ち込まれて、聴いて、驚いたわけです。これはおかしいと。まず、これ1つでステレオで鳴ること自体があり得ないので。あまりにも不思議がって私がそのスピーカーの周りをぐるぐる回っているのを面白そうに見ながら、「そんなに気に入ってくれたなら少しの間置いておきますから」とおっしゃられて、お預かりしたんですよ。そのあと、お客様が見えてコンサルをしていくなかで、帰り際にみなさん「やっぱりスピーカーが4つあると音が広がっていいですね」とおっしゃるんです。

ああ、もともとあった4つのスピーカーが鳴っているものだと勘違いして。

はい。もうケーブルはつながってなかったんですけどね。「いや、鳴ってるのはこれです」と種明かしをすると、みなさんすごく驚かれて、10人予約がたまったんですよ。

自社製品じゃないのに(笑)。

そうなんです。だから、みなさんにはお断りしてたんですね。でも「いや、製品になったら買うから」という人が10人たまって、10人目に“あ、驚いてるのは僕だけじゃないんだ”と思って、持ち込まれた開発者の方に「このスピーカーをぜひやらせてください」とお願いしたら、「そう言ってくれるのを待っていました」とふたつ返事でご了承いただけて。で、私も翌週には会社定款を「総合音響メーカー」に変えました。このスピーカー1個しかないのに(笑)。

10時間かけて説明しても「いや、それはおかしいでしょ」と(笑)

 では、今回の本題でもある、エムズシステムスピーカーはなぜ従来のスピーカーとは違い、ワンボディで360度に音が広がるのか――。その秘密を教えてもらおうとしたのだが…。

よく形容されている「波動スピーカー」とは、どういうものなのでしょうか?

実は我々から波動スピーカーとは言ってないんですけどね(笑)。波動って何かというと、均等に拡散していくものなので、水面に石を投げて波紋が広がるように真円で広がっていくわけです。ただ、それこそこの原理原則を説明し始めると、私がこれから10時間かけて説明したあとに、最後に「いや、それはおかしいでしょ」となるので、説明はしていないです(笑)。なぜなら、今の音響工学的には矛盾してますから。

従来のスピーカーには音の進む方向性=指向性があるし、2本でステレオにしているので、ある意味ベストなリスニングポジションも決まってしまう。でも波動スピーカーは音が拡散するので、どこにいてもベストな音が聴けるというわけですよね。

はい。自然の音とか楽器の音、人の声もそうですけど、全部、拡散なんですよ。鳴ってるのは本当は1ヶ所じゃないですか。

なるほど。あ、いや、なるほどっていうか、よくわかってないですけど(笑)。

ははは。なので、理論はともかく、ぜひ体感してみてくださいということなんです。

発明ですよね、これって。

言ってみれば、このスピーカーの原理原則を開発した方はとんでもない発明をしたと思うんです。どちらを向いても、ピアノが一定の位置にいて、ドラムスが一定の位置で叩いている。そのまま遠ざかっていただいても音が減衰しない。しかも、デッドな場所でも聴こえる。おかしいですよね?

はい、あり得ないです(笑)。これ、特許はとっているんですか?

特許は申請してないです。これは開発された方ともお話ししたんですけど、「いや、僕ができたんだから明日どこかの国の誰かが同じようにできるかもしれないし、そのときはそのときで、良い音が広まればいいじゃないか」と。ただ、現実、この10数年間、誰もどこでもできてないんですよね。

従来のスピーカーとの違い

この音で人の心のなかにある不平不満を取り除きたい

 大きな音を出さなくともクリアに聴こえるから耳にやさしいうえ、このスピーカーは環境にやさしいのも特長のひとつだ。

素材は紙と木のみなんですよね?

はい。バッフル板は木で、ボディは紙です。もちろん無垢材も考えたんですが、無垢材でやると個体差ができるんですよ。さらに言うとスピーカーの左右の部分差があっても困るわけですね。こちら側に節があるとか密度が違うとなると、左右のバランスも狂いますから。だから、木から作られた紙をもう一度木のように戻すという作業をしてこのボディを作っています。

「良い音を売りたいんじゃなく、人を幸せにしたい」が基本理念だそうですね。

そうです。このスピーカーの開発者の方がおっしゃったことで、「この音で人の心のなかにある不平不満を取り除きたい」と。そうするとどうなるかというと、心にゆとりができるじゃないですか。人は自分が幸せになって初めて他者のことも考えられるわけですから。不平不満が取り除かれて心にゆとりができる環境って何かというと、やっぱり日々の生活を居心地よく送れる、整った環境のことだと思うんですね。

つまり、ストレスのない生活のこと。

このスピーカーはそれを簡単に実現してくれるということなんです。その人の心のなかにゆとりが生まれて、第三者のこと、町のこと、国のこと、世界のこと、というふうにどんどん思考が広がっていくんです。

 HPの社史の2020年のところには「多くの人の生活がエムズシステムの音色に包まれ、世界が良い方向へと舵を切り始めます」とある。現在、エムズシステムスピーカーは高級ホテルや百貨店、カフェなどにも導入されているが、これがもっと広がり、公共の場などでも導入されれば、世界全体が幸せになるきっかけになるかもしれないと三浦社長は話す。「心地よい音」で「地球平和」を。三浦社長が本当に目指していることはそういうことなのだろう。

text:吉田幸司

エムズシステムスピーカー

エムズシステムスピーカー

ひとつのボディで、どの場所にいても、広がりのあるナチュラルな音が聴こえる波動型スピーカー。横幅40cm×直径21cmのMS1001シリーズは129,000円〜(税別)、一回り小さい直径16cmのRS0802シリーズは93,000円〜(税別)。ほかにオリジナルアンプやアンプ内蔵型スピーカー、テレビ用スピーカーもラインナップ。

エムズシステム本店・ショールーム
東京都中央区新富2-1-4
tel:03-5542-7432
営業時間:10:00〜18:00(水曜定休)

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