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2017.07.14

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佐々木 舞さん YouTube 音楽コンテンツ担当

Lesson 1 YouTubeの音楽担当者がアドバイス!

お聞きした人

佐々木 舞さん YouTube 音楽コンテンツ担当

まずはズバリ、YouTubeの音楽担当者に、アーティストプロモーションとしてのYouTubeの効果的な活用術、チャンネル登録者数の増やし方などを、海外の実例を交え、教えていただいた。

text:ふくりゅう(音楽コンシェルジュ) photo:岡本麻衣(ODD JOB LTD.)

動画の置き場としてだけでなく、チャンネル全体が
ちゃんとストーリーテリングできているかが大事。

海外のYouTube事情

日本のYouTubeの現状を教えてください。

日本において YouTubeへアップロードされる動画の総アップロード時間は前年比167%増で(2016年12月時点)、2.5倍以上になっているんです。裾野が広がっているかもしれないですね。トレンドとしては、YouTubeにおけるライブ配信です。世界全体で言うと、前年比で4倍以上もライブ配信コンテンツが増えています(2017年時点)。 今年、モバイルからのライブ配信をより多くのクリエイターにご利用いただけるようになり、さらに手軽にファンとリアルタイムにつながれるようになりました。たとえば自宅やスタジオから気軽に音楽コンサートをライブ配信し、世界中からリアルタイムで観客を持てるなどといったようなことです。

YouTubeクリエイターの活動は、日本よりも海外のほうが規模も大きく進んでいる印象を受けますが、海外シーンの動向を教えてください。

たとえば、YouTubeクリエイターとして世界的に人気のあるキャメロン・ダラスさんは、YouTube動画投稿などSNSで注目されるにとどまらず、ファッションブランドのモデルとして起用されたり、起業したりなど、ビジネスでも活躍したりしています。実際、YouTubeクリエイターが影響力があるセレブランキングの上位に入るなど、YouTube をうまく利用して活動の幅を広げている例も見受けられたりしています。

音楽系のYouTubeクリエイターの現状はいかがですか?

海外だと、ペンタトニックスという米国の 5人組アカペラグループは、YouTubeで公開したカバー動画をきっかけにブレイクし、グラミー賞を受賞するに至りました。チャーリー・プースも、YouTubeで歌を公開したことから注目を浴びるようになったアーティストですが、彼も同賞にノミネートされていましたね。YouTubeを活用して音楽活動を広げていった良い例だと思います。

YouTubeをマーケティングに活用

ミュージシャンがやライブ映像を投稿する際に、どうしても再生回数だけに目がいきがちと思いますが、実はYouTubeはマーケティング活用として使えるデータも取れるらしいですね。

そうなんです。そこが実は肝で。YouTubeを使う理由の大きな部分になるかもしれません。「YouTubeアナリティクス」というデータ分析ツールがあるんですけど、それがそのひとつです。YouTubeの場合、再生時間でコンテンツの人気度を測っているのですが、視聴時間や離脱タイミングにひもづいたデータであったり、どの国でどのくらい観られているのかなどもリサーチできるので、海外でライブを行う際の参考にもなりますね。男女比や年齢などの属性、どのサイトを経由して動画に辿り着いたのかなど、データをもとに戦略的なプランを考えることができると思います

EX-1  YouTubeをプロモーションツールとして活用する

まずYouTubeにチャンネルを作り、それを見つけてもらう工夫をし、何度も観てもらう努力をし、そしてチャンネル登録者数を増やしていくことで、プロモーションにつなげよう。(参考:YouTubeクリエイターアカデミー)

ミュージシャンの場合、ミュージックビデオやライブ映像をアップしつつも、解析まではできていない方が多そうですね。

実は、YouTubeとしてはクリエイターの方に向けて「YouTubeクリエイターアカデミー」というページでノウハウをオープンに公開しています。学びたいトピックを選んで、どんなふうにアイデアを出すか、どんなふうにブランディングすべきか、ファンとのやりとりを活性させる方法などを学ぶことができます。いわゆるYouTubeクリエイターで人気のある方はユーザー側の視点を大切にされているんですね。「YouTubeクリエイターアカデミー」と「YouTubeアナリティクス」を活用することで、客観的に確認ができるようになるかもしれません。

なるほど、それは便利そうですね。

そして大事なのは、チャンネルをしっかり運営して登録者を増やすことなんです(EX-2)。

EX-2  チャンネル登録者を増やす4つの方法

視聴者の反応を知ることも大事。「YouTubeアナリティクス」をチェックしたり、決まった時間にアップしたり、チャンネル登録をしやすくする工夫をしたり、できるかぎりの施策を。(参考:YouTubeクリエイターアカデミー)

チャンネル登録者の増やし方

よりコアファンになっていただくための導線を作るということですね。

ユーザーがチャンネル登録をするメリットとしては、動画をアップするごとにプッシュ通知が届くんです。継続して観ていただけるようにするための工夫なんですね。

ファンとのエンゲージメントを上げる即効性の高い機能なのですね。

あと、チャンネルトップのビジュアルがブランディングとして大事なんです。たとえば、ビヨンセがアルバム作品を発表すると、必ずアイテムに合わせたビジュアルに変えていました。その下の動画のサムネイル写真も大事で、ある意味ジャケ写なんですね。「ジャケ買い」という言葉があるように、新規にクリックしてもらうにはビジュアルは大切です。動画の置き場としてのチャンネルではなく、ちゃんとストーリーを画像や映像やテキストで表現すること、チャンネル全体がちゃんとストーリーテリングできているかが大事だと思いますね。

それこそ、動画をアップするタイミングなども重要そうですね。

そうですね。ミュージックビデオを観て好きになってくれたファンに向けて、やれることはたくさんあります。ファンからコアファンになっていただくためのYouTube活用施策ですね。そのためには、YouTubeで定期的に情報を出していく工夫が必要です。リリース前でしたらティザー動画やサンプラー動画、リリースタイミングでしたらミュージックビデオはもちろん、リリックビデオやダンスレッスンビデオ、リリース後にはメイキング、ビハインドザシーン、ツアー中にはツアー映像やコメント動画など。このように、たとえば1曲の音楽だけでも、それにまつわるストーリーを表現することで、多角的な見せ方ができます(EX-3)。

EX-3  YouTube動画アップの流れ参考例

「リリース前」「リリースタイミング」「リリース後」「リリースツアー中」と分け、曲のプロモーションを段階的に展開させ、ストーリーとして見せることで、視聴者を飽きさせず、長期的に引きつけることも可能になる。

それはわかりやすいですね。

参考になるといえば、エド・シーランのYouTubeを活用したプロモーション展開は興味深いです。たとえば、ツアータイミングではツアー映像のみでなく、現地のファンとの交流を撮影して、それをミュージックビデオ風にアップするんです。また、公式チャンネル上で60分以上のライブ映像をフルで上げていたりもします。こうした多角的なプロモーションを経て、ファンを獲得し、セールスでも1位になっているんですね。

出し惜しみをしないのですね。

あと、ファンとの結びつきを大切にしているのはケイティ・ペリーですね。モバイルライブ配信で日常を追った動画をアップしています。寝起きのベッドルームから配信されていたり。このリアル感、ファンはうれしいですよね。音楽活動以外の自分もYouTubeで配信して、ファンとの交流をする。しかも、気張らない日常の様子を届けるというのも面白いところですね。

佐々木 舞さん YouTube 音楽コンテンツ担当

専用撮影スペースも利用可能

チャンネル登録者を増やすノウハウはありますか?

ほかのアーティストの動画にゲスト出演したり、動画を通じたコラボレーションするのもいいですね。YouTubeは、チャンネル登録者数が人気を示すひとつの指標になっています。たとえばコラボレーションの話があったときには「チャンネル登録数はどれくらいですか」という会話からコミュニケーションが始まったりします。活動プランに応じて、動画を継続的にアップしつつ、ライブやセールスにつながるようチャンネル登録者を増やすことが大事だと思います。そして、動画の最後には「チャンネル登録をしてね」とアーティスト本人が言うことが大事だったりします。

チャンネル登録者数が多いと、こちらの六本木ヒルズにある機材の揃ったYouTube Space Tokyoも無料で使えるそうですね。

はい。チャンネル登録者数1万人以上でスタジオや機材を使って撮影ができて、10万人でファンイベントなどにも活用できます。撮影や編集技術などを学べる各種ワークショップは定期的に開催されていて、登録者数 1,000人以上などさらに幅広い方に開かれています。ぜひ活用していただきたいですね。

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