特集記事

2017.07.14

SPECIAL

特集記事

徹底追及第7弾!!

「チケット高額転売問題」について考える

ライブ・エンタテインメント議員連盟事務局長を交えて

ライブ・エンタテインメント議員連盟事務局長を交えて

山下貴司さん(自由民主党 衆議院議員、ライブ・エンタテインメント議員連盟事務局長)
野村達矢さん(一般社団法人 日本音楽制作者連盟理事、株式会社ヒップランドミュージックコーポレーション常務取締役執行役員)
中西健夫さん (一般社団法人 コンサートプロモーターズ協会会長、株式会社ディスクガレージ代表取締役社長)

今回は、ライブエンタテインメント産業の健全な発展を国家施策として推進する「ライブ・エンタテインメント議員連盟」(会長:石破茂衆議院議員)の事務局長、山下貴司衆議院議員をお迎えし、ネットダフ屋やボットによる大量買い占めを防ぐための法的規制の必要性や、その立法化に向けた動きの現状などをお聞きした。

text:君塚 太 photo:小松陽祐(ODD JOB LTD.)

チケットによる収益はアーティストや、次の世代を育てる役割を担っている方に還元されるべき。

新たな法律が必要だという認識が議員の間でも急速に広がっている

これまで本誌でもたびたび取り上げてきたチケットの高額転売問題への具体策として、6月1日に公式チケットトレードリセール「チケトレ」のサイトが正式オープンしました。「チケトレ」は、公的な書類で本人確認を受けたうえで、ファン同士が券面額でチケットを取り引きできるサービスですが、まずはサイトのオープンに至る経緯をおうかがいできればと思います。

中西最初にチケットの高額転売問題が広く一般的に認知されたのは、昨年の8月に4つの賛同団体(日本音楽制作者連盟、日本音楽事業者協会、コンサートプロモーターズ協会、コンピュータ・チケッティング協議会)、アーティスト、フェスなどの音楽イベントが連名で意見広告を新聞で発表してからだと思います。その後、いろいろなメディアでも取り上げられて、日頃ライブエンタテインメントを楽しんでくださっている方々からも幅広い意見が寄せられるようになりました。それらの声を、是非も含めて受け止めたうえで、やはりどうしても現状を見過ごすことはできない、我々自身も変わっていかなきゃいけないということが明確になってきました。それがまだまだ完璧ではないですけれど、今回の「チケトレ」のスタートにつながりました。

野村チケット高額転売問題に取り組むにあたって、3つのテーマを掲げました。1つは啓蒙活動。チケットの高額転売によって、アーティストやライブの主催者、エンタテインメントに携わっている人々みんなが本当に大きなダメージを受けているんだということを知ってもらう活動です。高額で転売されているチケットは買ってほしくないし、もちろん出品もしてほしくない。それを徹底的に知ってもらうことが大事でしたが、これは意見広告の発表によって、かなり浸透させることができたと思います。

ライブ・エンタテインメント議員連盟事務局長を交えて

確かに活動の第一歩としては大きな成果を得られたと思います。

野村次は、やむを得ない理由で会場に足を運べなくなった方々に対する対策。公式のリセールの環境はなかったわけですが、購入いただいた方がそのチケットを無駄にしないように、どなたかに譲れるプラットフォームは必要だったわけです。これについては公式の「チケトレ」の運用がスタートしたことで、対策の第一歩が踏み出せたと思います。そして最後のテーマは、チケットの高額転売を取り締まる法律がないことですが、現在まさにこのような形で立法化へ向けた動きを国会議員の先生方に働きかけているところです。

高額転売問題をテーマにしたライブ・エンタテインメント議員連盟(以下、議連)の記者会見(今年4月21日)でも、質問の多くは立法化に関することでした。ここからは議連で事務局長を務めていらっしゃる山下先生にも議論に加わっていただきたいと思います。

山下コンサートだけではなく、たとえばダフ屋は昔から野球場の前で転売行為をしていましたよね。私の前職は検事でしたから、ダフ屋を取り締まったことがあるんです。だからインターネットを使ったチケットの転売も取り締まれると思っていたのですが、実は取り締まるための法律がないんだと気づきました。法はあるにはあるんですが、なかなか適用が難しいんです。ダフ屋を取り締まっているのは国の法律ではなく、都道府県ごとの迷惑防止条例で、日本の47都道府県のうち41はあるんですけれども、条例がない地方自治体もあるんです。さらに迷惑防止条例は公共の場所での迷惑行為を禁止するもので、リアルではないインターネット空間は公共の場所と認められていない。つまり、取り締まれないんです。

条例はネット時代に対応していないわけですね。

山下そうなんです。にもかかわらず転売行為が当たり前のように行われていて、場合によっては10倍、20倍の価格で売られている。しかも、100人ほどいると思われる主要な転売者は、ボット(ネット上でチケットを大量に購入するプログラム)などを使用して、自分には必要のないチケットを確保して、売りさばくことを目的としています。これは新たな法律が必要だという認識が議員の間でも急速に広がっています。

山下貴司さん

山下貴司さん
自由民主党 衆議院議員、ライブ・エンタテインメント議員連盟事務局長
大事なのはチケットの値段を決めるのは、 ダフ屋ではなく、アーティストであり、 主催者であるべきだということですね。

ライブ体験による感動を日本中に広めたいという思いは議員も同じ

今後、立法化を目指すにあたって、議連の役割はさらに大きくなると思います。そもそも議連設立の働きかけを行ったのは、どういった理由だったのでしょうか。

中西ライブエンタテインメント周辺の環境は、10年前から考えると劇的に変わりましたし、これからはもっと変わり始めると思います。我々も5年とか10年のスパンで物事を見据えていくべきですが、高額転売問題のように半年で急激に事態が悪化してしまうケースもあります。そうしたことに個々の団体だけで対応しようとするのは限界がありますし、特に法整備が必要な問題は立法の担い手である国会議員の先生方に状況をご理解いただき、客観的なジャッジをしていただいたうえで前に進む必要が出てきました。

野村今、中西さんがおっしゃった「10年間の劇的な変化」のうち、音制連にとって一番大きかったのは、音楽産業のなかでCDの売り上げが落ち込み始めて、音楽プロダクションの業務の中心が権利ビジネスからライブビジネスに変わっていったことなんです。そういった変化を受けて、コンサートプロモーターの団体であるACPC(コンサートプロモーターズ協会)さんと今まで以上に密に連絡を取り合って、一緒に課題へ取り組んでいく必要が出てきました。実際に課題をあげていくと、会場不足やコンサートの開催が週末や休日に集中している問題、現場にアルバイトが集まらないことなどいろいろと浮上してきましたが、もっとも大きな力を注がなくてはいけないのはチケットの高額転売問題だという結論になりました。

「音楽とネット」ということでは、過去に違法ダウンロードの問題もありました。

野村ただ、権利ビジネスにおける大きな課題、違法ダウンロードがネット上ではびこったときは、法律が対応していましたので「違法」という言葉を使えたんです。今回のチケットに関しては、「違法チケット高額転売」とは言えない。だからこそ議連のみなさんにも、ぜひご協力いただければと思っています。

野村達矢さん

野村達矢さん
一般社団法人 日本音楽制作者連盟理事、株式会社ヒップランドミュージックコーポレーション常務取締役執行役員
チケットの高額転売を取り締まる法律の 立法化へ向け、現在まさに国会議員の 先生方に働きかけているところです。

山下先生は業界側からの働きかけを受ける側だったわけですが、議員の方々の間ではライブエンタテインメントのビジネスに対してどんな印象があったのでしょうか。

山下議員も一般の音楽ファンとなんら変わりなく、ライブに足を運んだ経験はあるわけですよ。たとえば議連の会長である石破茂先生がキャンディーズの大ファンであることは有名ですし、メンバーの林芳正先生は議員バンドを結成している方です。アーティスト出身の三原じゅん子先生、今井絵理子先生も先日の記者会見に参加されました。ライブ体験による感動を日本中に広めたいという思いはみんな持っていますので、議連のメンバーは自民党だけで、あっという間に80名になりました。

関心は高かったわけですね。

山下それともうひとつは、東京オリンピック・パラリンピックを前にして会場不足問題も起きていますが、このままだと当然、高額転売の問題も日本国民だけではなく、世界中からオリンピック・パラリンピックを観に来られるお客様に影響を与えることになってしまいます。以前、文部科学大臣を務めていらした馳浩先生がおっしゃっていたのですが、オリンピック・パラリンピックでダフ屋がもうけるようなことがあってはいけないんです。私自身も、もし転売サイトで開会式のチケットが正規の価格の20倍で売られるようなことがあったら、それだけで東京での開催は失敗だと評価されてしまうと思います。

東京五輪までに見える成果を出していきたいと思います始

では具体的に、どのような立法が求められているのでしょうか。

山下欧米での法規制は不正なプログラムであるボットの使用を禁止することが中心ですが、日本において果たしてそれで足りるのかという点は考えています。たとえばネット上でチケットが売りに出された場合、それがボットを使って入手したものなのかそうじゃないのか、わからないわけですよね。複数のIDを使い、手作業で買って、それを高値で売り出す場合もあるでしょう。だからボット禁止の法律だけで対応できるのかは、これからみなさんのご意見をうかがいながら考えていきたいと思っています。

野村ネット上で特定の転売者が大量にチケットを買い占めてしまうことを防ぐためには、ボット規制も有効だと思います。それと同時に今、山下先生がおっしゃられた「ボット規制だけで大丈夫なのか」という発言も非常に大事だと思いますね。「チケトレ」でこだわっているのは、ユーザーのニーズに対して、定価でのリセールで応えることなんです。券面額より高くも安くもなく、券面額をそのままキチッと明示して、その額で譲ることをすごく重要視していますので、それが立法によって保障されれば大変ありがたいですね。

中西健夫さん

中西健夫さん
一般社団法人 コンサートプロモーターズ協会会長、株式会社ディスクガレージ代表取締役社長
高額転売問題のように半年で急激に事態が 悪化してしまうケースに、個々の団体だけで 対応しようとするのは限界がありますから。

「定価」であることはユーザーの安心感にもつながりますね。

野村さらにつけ加えるなら、もともとのチケット価格に幅を持たせることも我々は考えていかなくてはいけないと思います。これまでは会場のどの席のチケットも、なるべく平等な価格で販売することを大切にしてきましたが、席によって価格にある程度の差をつけたり、付加価値があるチケットを考案することも、ユーザーのニーズに応えることになるんじゃないでしょうか。

中西チケット価格については、我々もいつも悩んでいるんですけれど、最近は「プレミアムシート」「VIP席」という席を作ることも増えて、高い席から売れていく傾向はあると思います。席の場所が確約されていたり、特別感を味わえることがお客さんのニーズにマッチしているんだと思います。また、フェスの場合も、たとえば「VIPチケット」みたいなものを用意して、買っていただいた方には会場内をまわる導線が別ルートを使えて、ケータリングも楽しめる、みたいなそんな発想をしていかないと。お客さんがそのライブに求めるものは、それぞれ違いますからね。

山下大事なのはその値段を決めるのは、ダフ屋ではなく、アーティストであり、主催者であるべきだということですね。チケットによる収益はアーティストや、次の世代のアーティストを育てる役割を担っている方に還元されるべきだと思います。

最後に立法化へどんなスケジュール感でのぞむのか、山下先生からうかがえれば。

山下それをここで明言するのは、とても難しいですね(笑)。でも、迅速に進めていかないと、全国のファンに怒られます。立法は何をやっているんだと。先ほども申し上げたように、東京オリンピック・パラリンピックのチケットが高額転売されるような状況は私どもも許し難いと思っていますので、それまでに見える成果を出していきたいと思います。国会閉会中も検討していき、できるだけ早い段階で方向性を示したいと考えています。

チケットのリセールは音楽業界公認!公式チケットトレードリセール「チケトレ」で!

公式チケット
トレードリセール「チケトレ」

楽しみにしていたコンサートに急用などでやむなく行けなくなってしまった人(チケットを売りたい人)と、そのコンサートのチケットを買いたい人をつなぐサービス「チケトレ」。音楽業界公認なので、法外な値段のチケットや偽造チケットを手にしたり、詐欺被害にあう心配はなく、買う側も売る側も安心して利用できるのがうれしい。

「チケトレ」のポイント

(1)人気チケットも券面価格で取引

(2)公的書類による本人確認で安心取引

(3)音楽業界公認だから入場も安心

タグ: