特集記事

2017.05.15

SPECIAL

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徹底追及第6弾!!

「チケット高額転売問題」について考える

チケットエージェンシー座談会

チケットエージェンシー座談会

[参加者(写真左から)]
石川 篤さん(一般社団法人コンサートプロモーターズ協会 高額転売対策担当委員)/進行役
東出隆幸さん(ぴあ株式会社 執行役員)
於保義教さん(コミュニティネットワーク株式会社 取締役副社長)
阿部信治さん(株式会社ローソンHMVエンタテイメント 理事執行役員)
土岐雄二さん(株式会社イープラス 管理部統括部長)

前回も触れた、音楽業界発の公式チケットリセールサービス「チケトレ」が、6月1日、いよいよスタートする(現在プレオープン中)。そこで今回は、ぴあ、イープラス、ローソンチケット、CNプレイガイドの4社にお集りいただき、これまでの状況をチケットエージェンシーの立場から総括してもらいながら、チケトレのサービス内容について教えていただいた。

text:フジジュン photo:小松陽祐(ODD JOB LTD.)

これは高額転売を撲滅するための遠い道のりの一歩でしかないんです。

チケット転売問題の実情

石川チケット転売問題に関しては、昨年は新聞に意見広告を打つなど広報活動に注力し、現在は6月1日に「公式チケットトレードリセール(以下チケトレ)」が正式オープンという流れで進んでいます。今日は今後、法整備といったところに向かっていくうえで、この問題を最前線で見てきていらっしゃるみなさまに、加害者は誰で、守るべきものは何かということも含め、実情をおうかがいしたいと思っています。まず、転売対策に関して、転売ヤーからの攻撃の実態を察知できているのかということからお聞かせください。

東出現在のチケット販売の主流である抽選販売では、1人の人が様々な手を使って複数のIDを作り、大量に申し込むということは日常茶飯事です。我々はそれをシステムを使ったり、目で1件1件確認して、重複したものをはじくという対策はしているんですが、そもそも複数のIDが取れるということが問題なのです。今後は電話番号1つに対して1つのIDしか取れないという仕組み(SMS認証)も導入していく予定です。高額転売の抑止は、まず、一次販売で誰が購入したのかということを厳格にチェックし販売していくということをやっていかなくてはいけないのかなと思っています。

阿部うちも対策はしているんですが、やはり限界があります。目に見える範疇や過去の実績にもとづく把握や対策はできるんですが、手口が年々巧妙になっているんです。

土岐サイトにアタックをかけてきたり、プログラムで大量に購入してくる手口もあります。うちは、電子チケットによる本人認証を一部導入し始めており、6月からは会員登録の際にもショートメッセージによる認証が必要な仕組みに移行しますので、かなりの部分はブロックできます。ただ、向こうも日々進化しているので、いたちごっこの部分はどうしても出てきますね。

於保義教さん

於保義教さん
コミュニティネットワーク株式会社 取締役副社長
相手もどんどん化けてきますので。やはり法的な規制が求められているのではないかと思います。

於保我々もブラックリスト化されたIDを抽選時に外すということもしているんですが、相手もどんどん化けてきますので、追いついていないのが実情です。あとはうちの場合、リアルなダフ屋がバイトを雇って、プロ野球のチケットを購入してくることもあります。その対策を機械で行うのは、なかなか難しいですね。やはり法的な規制が求められているのではないかと思います。

石川昨年の11月、警視庁に陳情しに行った際に提出したデータで、短時間に千件以上のエントリーをしたというものがあったんですね。それはもっとも悪質なレベルの話ですが、某転売サイトの話を聞くと、そのようなプロって、全会員の1〜2%らしいんです。で、1〜2枚を出品している会員が89%。残りの10%くらいの会員が4〜9枚のチケットを出品しているらしいんです。つまり4〜9枚を出品している人は、1人で何件も予約している。一番良い席のチケットを自分が使って、あとは転売サイトに出品する。そうすると高値で売れるから、自分のチケット代分くらい儲っちゃうんですよね。昨年10月に放送された『NHKクローズアップ現代+』の「追跡!チケット高額転売の舞台ウラ」という特集でも、中高生の女の子が罪の意識もなく転売をしている実情を取材していましたが、そうした悪気もないグレーゾーンの人たちは防ぎようがないんですよね。

東出雑誌の「副業での小遣い稼ぎ特集」みたいなものでもチケットの転売が取り上げられたりします。転売によって誰かが困るとか、迷惑をかける行為であるということは当然書かれていないですよね。女子高生が何百万稼いだとか、プロ野球の日本シリーズで高校生が何十万稼いだとか、悪気もなく無邪気にやってしまうのが恐ろしいです。

石川この2〜3年でそういう場が一般化してしまったことは、音楽業界やコンサート業界を越えた社会問題ですよね。だから、無邪気に罪を犯している子供たちを守らなきゃいけないという側面もあるんです。法律で守ることができるようにするための運動は今後も続けていきますが、保護すべき法益がそこにもあるというのは訴え続けていかなきゃいけないですね。

阿部信治さん

阿部信治さん
株式会社ローソンHMVエンタテイメント 理事執行役員
目に見える範疇での把握や対策はできるんですが、転売ヤーの手口が年々巧妙になっているんです。

チケットキャンプの問題点

この2〜3年で高額転売が一般化した背景には、チケットキャンプの存在もありますか?

石川あります。テレビCMで人気タレントが宣伝していたら、非公式なものだとは思わないし、信用もしますよね。

於保一般のユーザーに一次流通、二次流通の見極めなんてないですから。転売サイトも通常のチケットサービスであると思って、利用してしまいますよね。

石川チケットキャンプが市民権を得る前、ヤフオク!やチケット流通センターの時代はまだ後ろめたさもありましたけど、チケットキャンプの登場で利用者がホワイトユーザー化しているんです。その結果、主催者や販売窓口となっているプレイガイド側に「転売対策ができていない」と、怒りの沸点に達した人から脅迫めいたクレームを受けることもあったんですよね。

東出「私はチケットが買えなかったのに、発売後すぐに転売サイトに出品されているのはどういうことか?」というクレームは一番多いですね。

阿部「高額転売サイトへの出品の多さと自身がチケットを取れなかった事実もあいまって、プレイガイドが裏社会とつながってるんじゃないか?」という想像力豊かなクレームもありました(苦笑)。「転売サイトで購入したチケットを無効にしてほしい」という申し入れも多いですね。「『営利目的の転売は禁止』と書いてあるんだから、なんとかしろ」と突きつけられたり。

石川ユーザーは転売ヤーの存在を認識しているんです。だから、欲しい人がちゃんと入手できるように転売からプロテクトするのは、主催者や販売窓口となっているプレイガイド側の義務だと思っているんですよね。

土岐雄二さん

土岐雄二さん
株式会社イープラス 管理部統括部長
ネットダフ屋はルールを無視した攻撃で、我々の公正なサービスの提供を阻害している。

土岐転売問題における加害者は誰なのかという問いかけが冒頭にありました。最初の話題ではネットダフ屋の手口についてみなさん語っておられました。我々は申し込んだ方に公平に当選する機会を提供させていただきたいと思い、あらゆる手立てを講じていますが、ネットダフ屋のルールを無視した攻撃を見れば、彼らは、我々の公正なサービス提供を阻害している加害者だと思います。

東出そういう人たちがいることで、我々は余計な手間や費用をかけて、対策をしなくてはいけなくなってしまう。

於保ただ、やむを得ずチケットを手放すという場合もあるんですよね。たとえば、チケットを購入したけど病気で行けなくなったと。そこで「キャンセルが認められないのはなぜだ?」と言われることもあるんですが、「我々は主催者からの委託を受けてサービスを行っている立ち場なので」とお答えするしかないんです。

石川まさにそこで、我々がチケットキャンプに対して「高額転売の舞台になっているじゃないか」と言ったとき、「病気や都合で行けなくなった人を救済するという意義がある」というのが先方の言いぶんなんです。

東出ただ、チケットキャンプには予約番号だけを販売するという出品もすごく多いんです。これは大量に申し込んで、当選した分の引取番号だけを販売して、チケット代は自分で払ってくださいという手口です。本当に行くつもりがあって買って、転売しているとは到底思えない。

東出隆幸さん

東出隆幸さん
ぴあ株式会社 執行役員
高額転売を抑止する法律ができるのが、我々にとって一番望ましいことだと思ってます。

公式チケットトレードが開始

石川確かに業界的には一度発券したチケットのキャンセルや転売を基本的に認めていなかったので、救済する場所を持っていないというのは事実としてあるんです。その救済の場として作ったのが、今回のチケトレというサービスです。ただ、元来の紙チケットだと一次販売で買ったチケットと転売サイトで買ったチケットを識別することができないので、結局、認証システムが必要になってしまう。そうなると一次販売で誰に買われて、チケトレで誰に買われたかを捕捉可能な、追跡システムがついた電子チケットを業界全体で構築しないと無理なんです。それに、チケトレを立ち上げても、営利目的の人はアーティストが値段に込めた思いなどまったく無視して、チケットキャンプで高額転売するでしょう。そこと戦うには、ガードを固めるシステムにさらに資本投下しなければいけないし、プレイガイドを含むすべての販売窓口を結ぶネットワークを構築しなければいけない。そこまでしないと撲滅できないという、壮大な話なんですよね。

東出確かに、転売を防ぐためには、電子チケット化、かつ会場入場時の個人認証がもっとも有効ですが、そもそもチケットは厳格な会員登録をして、入場時には本人認証しないといけない、行けなくなって誰かに販売することもままならないという使い勝手の悪いものではなかったはず。持っていった人が簡単に入場できる便利なものとしてチケットを作ったにもかかわらず、逆行している現状があるんです。本音を言うと、チケットはチケットのままでやっていきたい。そう考えたとき、「主催者が認めないチケット転売は違法である」という高額転売を抑止する法律ができるのが、我々にとって一番望ましいことだと思ってます。

土岐「そもそもチケットって何?」ということに関して、その通りだと思います。高額転売の対象になる公演はほんの一部です。チケットは利便性の高いものであってほしいというのが本心です。対策をやりすぎると、お客様に不便をかけてしまいます。なので立法化して高額転売を取り締まる。その段階までいったときにその先が見えてくるのかなと思いますね。

石川法律を作るのはなかなか難しいことですが、そこはこれからも力を入れてやっていかなければならないところですよね。

石川 篤さん

[進行役]石川 篤さん
一般社団法人コンサートプロモーターズ協会高額転売対策担当委員
無邪気に罪を犯している子供たちを守らなきゃいけないという側面もあるんです。

於保あとは、音楽産業の需要構造が変わってライブに頼らざるを得ない現状があるなか、拡大生産のための収益を得ていくためには、スポーツ業界のように、マーケットの成長を配慮しながら、チケットの価格体系を再構築していく必要性も忘れてはならない点です。

土岐ただ、アメリカの状況を見ても、たとえば「土日の良いカードは値段を高くする」となったとき、長く見てきたファンががっかりして離れてしまわないように慎重に価格設定をしているという話も聞きます。アーティストの寿命であったり、顧客層の拡大であったり、5〜10年の中長期の視点で利益の最大化を考えるのが正しいように思うんです。

東出それとアメリカでは二次流通が公認されていて、盛んに行われているという理解をされている方もいるんですけど、実際には二次流通が認められていない州もあれば、反対しているアーティストもたくさんいる。去年の12月には、オバマ元大統領が「BOTS禁止法案」にサインしているんですよね。

石川簡単に言うと、「システムで短時間にたくさんの予約をすることを禁止する」というニッチな法案ですよね。そのように海外でも券面金額での取り引きを推進しようという動きがあって、転売そのものに反対する人も多い。日本ではチケトレが立ち上がりますが、これは高額転売を撲滅するための遠い道のりの一歩でしかないということをおわかりいただきたくて。電子チケット化であったり、席位置や曜日に違う値段をつけてファンの楽しみ方に応じた選択肢を作ったり、新しい流通ネットワークの構築であったりと、いろいろな可能性を考えなければならない問題が存在するなかで、これを読まれているみなさんにもご一考をいただいて、議論を活発化していければ良いなと思っています。

公式チケットトレードリセール「チケトレ」が6月1日正式オープン!

サービス概要

イベントチケットをお客様間で2次売買するサービス。
高額転売、転売によるお客様間のトラブルを抑止し、健全な2次チケット販売を推進します。

サービス提供方法

インターネット上で本人確認を利用した登録制サービス

サービスデバイス

PC/スマートフォン対応
※フィーチャーフォンでの利用不可

サービス開始日

プレオープン 2017年5月10日(現在プレオープン中)
正式オープン 2017年6月1日
※当初は発券済みの紙チケットのみ

サービス運営

ぴあ株式会社

商品(チケット)の価格について

チケットは定価にて取り扱われます。
※商品価格に含まれるのはチケット代金(定価)のみ。チケットエージェンシー等での購入(1次流通)における手数料は含みません。

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