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2018.07.19

SPECIAL

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徹底追及第12弾!!

「チケット高額転売問題」について考える

チケット高額転売問題の現状

チケット高額転売問題に対する法規制に関する動きがありましたので、ここでご報告するとともに、同問題の現状についてもまとめました。

text:東條 岳弁護士(Field-R法律事務所)

法規制に関する最新の動き

 音楽関連4団体(一般社団法人日本音楽制作者連盟、一般社団法人日本音楽事業者協会、一般社団法人コンサートプロモーターズ協会、コンピュータ・チケッティング協議会)は4月16日、「高額チケット転売に反対するアーティスト・アスリートの要望を聞く会」(会場:衆議院第1議員会館)へ出席しました。この会には自民党、公明党、立憲民主党、希望の党、民進党、日本共産党、無所属の会からも多くの議員が参加、チケット転売問題がテーマの会として初の超党派での開催となりました。
 当日はライブ・エンタテインメント議員連盟の石破茂会長、文化芸術振興議員連盟の河村建夫会長、2020年東京オリンピック・パラリンピック大会推進議員連盟の遠藤利明幹事長より、転売規制法の重要性と今後の立法に向けた取り組みについて説明があったほか、アーティスト代表として宇崎竜童氏、夏木マリ氏、May J. 氏、Zeebra氏が登壇し、深刻化するチケット高額転売の現状と、早期の法整備を訴えました。
 また、藤井フミヤ氏、サンプラザ中野くん氏、きゃりーぱみゅぱみゅ氏、村上てつや氏(ゴスペラーズ)、及川光博氏、織田信成氏、カンニング竹山氏も転売問題の解決を訴えるビデオメッセージを寄せました。
 共同会見においては、石破会長より今国会での法案提出を目指すこと、そのためには党派を越えてこの問題への理解を深め、連携を進めていくことの必要性が述べられました。
 また、去る6月28日には、自民党、公明党、立憲民主党、国民民主党、日本維新の会などの国会議員が参加する超党派のチケット高額転売問題対策議連が開催され、法案の内容が確認されました。議連の共同代表を務める石破茂衆院議員は、「消費者がきちんとした値段でスポーツやライブに接することができるよう、なんとしてもこの国会中に成立させたい」として、今国会での法案成立に強い意欲を見せました。

チケット高額転売問題の現状

チケット高額転売の現状

 2017年末に、ミクシィ傘下のフンザが運営するチケット売買サービス「チケットキャンプ」の閉鎖が発表され、新規の購入や出品が停止されてから、チケットの高額転売件数自体は減少傾向にあると見られています。チケットキャンプにおいて大量のチケット転売を行っていた者の一部は、チケット流通センターやチケットストリート、ヤフオク!などの、ほかのチケット売買サービスにおいて販売を継続しているようですが、ヤフオク!においては厳しい出品制限がなされており、そのほかのサービスにおいても、チケットキャンプほどの多くの買い手ユーザーを見込めないことが、減少傾向の要因となっていると思われます。また、チケット高額転売を行う者が摘発されるケースが相次いだため、買い手側の音楽ファンにも「高額転売チケットは購入しない」という意識が広まった結果とも思われます。
 しかし、総数としては減少したと思われるものの、一部の高額で転売できることが確実に見込めるチケットについては、いまだなお高額で転売されるケースがあとを絶ちません。
 2018年に入ってからも、東方神起の公演チケットを転売目的で購入したとして、詐欺容疑での逮捕者が出たり、AKB48のコンサートのチケットを転売したとして、愛知県迷惑行為防止条例違反での逮捕者が出たりしています。このように、高額転売を規制する新たな法律の成立・施行を待たずとも、悪質な高額転売に対しては厳しい捜査が継続して行われています。チケットの高額転売のターゲットになることが予想される東京オリンピック・パラリンピックという一大イベントを控えるなか、今後も高額転売に対しては厳しい取り締まりが行われるものと予想されます。
 以上の通り、チケットの高額転売は、一時のような無法状態からは一定の落ち着きを見せたとはいえ、まだまだ一部のチケットが高額転売を狙う者の餌食になっています。これらの高額転売を防止するための技術的な対策や入場時の本人確認の強化も進められていますが、アーティストをはじめとするライブ・エンタテインメントを提供する側は、本来気軽に楽しめるはずのコンサートに参加する音楽ファンに、過剰な負担を課すことに対する抵抗感も持っています。
 音楽関連4団体は、チケット高額転売に対する法規制の動きを後押しすることで悪質な高額転売を撲滅するのみならず、より音楽ファンに負担の少ない方法でコンサートが楽しめるような、新しいチケット販売のあり方を提供すべく、日々検討を継続しています。

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