現場マネージャー物語

2018.04.20

INTERVIEW

現場マネージャー物語

ヤなことそっとミュート担当 慎 秀範さん

#126 ヤなことそっとミュート担当 慎 秀範さんDCG,LLC

轟音のオルタナティブロックを、澄んだ歌声と激しいダンスで魅せるアイドル、ヤなことそっとミュート。エンジニア2人と作家1人の音楽家集団がマネージメントを手掛けていることでも知られ、音の良さからも注目を集めているが、そのチームの中核を担う慎さんにマネージメントについて聞いた。

text:吉田幸司 photo:青木早霞(PROGRESS-M)

極端に言うと、僕に才能はなくてもいいんです。僕がいろんなところを中継するだけでいいので。

アイドルは、こっちが止まらない限りは止まらないじゃないですか

ヤナミューの運営チームはエンジニア2人と作家1人の3人で、慎さんは厳密にはマネージャーではないんですよね?

でも明確に切り分けているわけでもなくて。一応、作家のタニヤマを専任にはしているんですけど、おのおの普通に音楽の仕事をやっているので、タイミングが悪いときはほかの人がやるっていうだけですね。

慎さんを中心に、林さんと、最初はエンジニア2人で始まったそうですね。

エンジニアが2人集まっても何も生まれないし、一緒にやるんだったらシナジーが生まれるほうがいいよなと思って(笑)。じゃあアーティストマネージメントかなと思ったんですけど、前に一回やって、若干懲りてるんで(笑)。結局アーティストマネージメントの何が怖いって、本人にやめられたら終わりなんですよ。今の前にもう一個会社を立ち上げたことがあるんですけど、まさにそのパターンで。となればアイドルか、と思ったって感じですね。こっちが止まらない限りは止まらないじゃないですか。

モーニング娘。がまさにそうですね。

そこで、もともとアイドルのマネージャーをやってたタニヤマに声をかけて。我々はアイドルの運営はやったことなかったんで、そのノウハウが欲しかったというか。

いい音で出てないなんてことがまずあり得ないので

コンセプトとしては、グランジやエモの轟音ロックをアイドルのフォーマットに落とし込むスタイルを取っていますけど。

ただそれも、ここ空いてるなと思ったんですよ(笑)。オルタナティブ風味のものはあったりするんですけど、かなり突っ込んでやってるのはなかなかないなと思って。

その意味ではBABYMETALと同じですね。あっちはヘヴィメタルですけど。

まさにBABYMETALが契機になってるかもしれないですね。僕が聴いても違和感がないというか、むしろ新しくさえ聴こえる。そこでアイドルっていうフォーマットを使ってやれることって幅広いなって思ったのはデカかったかもしれないですね。

マネージメント的な意味ではどこにこだわっていこうと思ってました?

基本的にはマネージメントって人間を商品にするじゃないですか。やっぱりそこだけは崩しちゃいけないなと思っていて。しかも当初はみんな未成年だったので、親御さんからお預かりするっていうところも、ちょっとずっしりくるものがありましたね。

音楽クリエイター3人が集まった運営というのが最大の特徴だと思うんです。当然、音へのこだわりは相当強いですよね?

うーん、こだわっているつもりはないんですけど。いい音で出てないなんてことがまずあり得ないので。だから、こだわっていると大手を振って言う感じではないですね。普通にやってるだけだと思います(笑)。

では、本職がエンジニアということで得していると思うことは何でしょう?

やっぱりミニマルにやれるってことでしょうね。クリエイターと言われる職業かもしれないですけど、裏方ではあるので。しかもクリエイティブのなかの源流でもなければ、プロモーションでもなければ、間のところなんですよね、エンジニアって。だからこそ、いろんなことをうまく取り入れられるだろうなと思ってるところはあります。極端なことを言ってしまうと、僕に才能はなくてもいいんですよ。僕がいろんなところを中継するだけでいいので。もともとエンジニアってそういうものだと僕は思っているので。やっぱり、もとのアーティストが良くないとエンジニアだけ良くても全然いい作品にはならないですからね。

いろんなところを切り落として必要なところだけ集中した

1年で赤坂ブリッツワンマンを成功させました。勝因はどこにあると思います?

いやこれ、始める前にいろいろ考えたんですけど、大手のプロダクションには勝てんなっていうのが最初からあって。それこそ10代にいかない頃からレッスンに通って、そのなかの精鋭の子たちが、生え抜きでやってるわけじゃないですか。これは1年2年でどうにかするのは絶対に不可能だなっていうのがあったので、結構いろんなところを切り落としましたね。必要なところだけ集中してやらせるっていう、かなり振り切ったことを最初はやりました。

それ逆に勇気いりますよね。遠回りすることも時には必要だと思うので。

そうなんですよ。しゃべりとか、礼儀作法うんぬんとか。もちろんそれってすごい大切なことなんで徐々に教えるようにはしてるんですけど、うちでは一回保留にしてしまえって。全部並行してやっちゃうと、大手のプロダクションと同じ時間がかかっちゃうんですよ。向こうは10年かかってるんで。ってなると、10分の1は無理だとしてもせめて5分の1くらいまで覚えることを減らさないと、っていうのは最初から考えていたやり方ではありますね。

そぎ落としてここは残したっていうのは、具体的には何ですか?

基本的にはパフォーマンスですね。

つまり、ダンスと歌唱?

歌でしたね。レッスンもそうですし、本人たちに教えてあげるのもそうですし、最初から課題を出してずっとやらせました。

それはやっぱり制作ならではの発想ですよね。最初はとりあえずチェキをがんばろうってなる人もいると思うんで(笑)。

ははは。僕はでも、最終的な壁ってそこにあると思ってるんで。すごくうまいっていうのを目指してるわけではなくて、普通の人が聴いても普通に聴けるだけのパフォーマンスをしないと、結果最後の壁は突破できないと思ってるんで。普通の人が聴いて、ああ、へただなって思われた瞬間にもうアウトなんですよ。

音楽は最後まで修行みたいなものだから終わりがないところだと思う

音楽なんだから音楽をしっかりさせるべきと。アイドルは特にそうしたことの成長が感じられるところもあると思うんです。

そうですね。でも、それだけじゃない部分でも、姿勢とか普段の言動とかも変わってきたりしてるのを見ると、やっぱり、ああ、アイドルっていいよなとも思いますね。

人気も実力も上がってくると、人間的にも成長してくるという。

そうですね。それは僕らが教えたわけじゃなく、たぶん本人たちなりに考えたのと、やっぱりお客さんに育てられてるんだろうなとは思います。ファンとの関わりがアイドルの場合はどうしても密接じゃないですか。なので本当にお客さんに育てられてるなっていうのはあると思いますね。

マネージメントとしては、これからどうしていきたいですか?

やっぱり売りたいですよ(笑)。今CDの枚数が指標にはならないですけど、僕はとりあえず10万枚売れるグループにしたいっていうのは最初から言ってて。身近な人には言ってたんですけど、気が狂ってるとは言われましたけどね(笑)。

そのためには変わらず、なにより音楽を向上させていくという。

そこは普通にずっとやっていかなきゃいけないところだとは思ってますけどね。音楽なんて最後まで修行みたいなもんじゃないですか。そこはきっと終わりがないところだと思うんで。

カバンの中身拝見!

基本的にあまり物を持ち歩かない主義なのは「忘れちゃうから(笑)」とのこと。ライブのPA用に、Pro Toolsを動かすiLok、モニター用に使うセンサフォニックスのドライバーを搭載したイヤモニも携帯している。

カバンの中身拝見!

1. ポーチ
2. 鍵
3. USB
4. iLok
5. 財布

6. パスモ
7. 電子タバコ
8. イヤモニ
9. 名刺入れ
10. PC(Mac)

ヤなことそっとミュート

ヤなことそっとミュート

2016年結成。コンセプトは“ヤなことだらけの日常をそっとミュートしても何も解決しないんだけど、とりあえずロックサウンドに切ないメロディーを乗せて歌ってみる事にする”。5月6日(日)から全国ツアー開始。

Promotion within 100characters

慎さん、担当アーティストを100Wでプロモーションしてください!

オルタナティブロックを轟音で鳴らす清純派アイドル、体が震えるほど爆音なライブは中毒性あり、4人の歌声も魅力的で、時に力強く、はかなく、せつなく響きます。

最新作はコレ!

4th single「echoes」

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クリムゾン印刷/ 発売中