音楽未来

2017.07.14

INTERVIEW

GRANRODEO

vol.39 GRANRODEO
-スタッフとともに、チームとして-

声優とクリエイターのロックユニットとしてスタートしたGRANRODEOだが、アリーナクラスのライブを常に満杯にするなど、今ではJ-ROCK、J-POPシーンにすっかりと定着している。そのGRANRODEOのKISHOWとe-ZUKAの2人に、これまでの活動を振り返ってもらいつつ、スタッフとの関係性についても話してもらった。

text:清水素子

 世に言う“成功を収めたアーティスト”のなかで、GRANRODEOほど特異な存在はないだろう。声優谷山紀章(KISHOW)が主役を演じたアニメ『君が望む永遠』のキャラクターソングを歌う際、その曲を飯塚昌明(e-ZUKA)が作編曲したのをきっかけに、GRANRODEOは2005年に結成された。その後、周囲の人たちのモチベーションをかき立て、やる気にさせたのは、彼ら自身のハードロック/ヘヴィメタルをベースにした類稀なる音楽力と、互いに対する信頼にほかならない。「GRANRODEOは2人じゃない。スタッフを合わせたチーム全体でGRANRODEO」と語る彼らは特殊な形だからこそ、人と人との間に横たわる関係性の真理を知っているのだ。

要するに2人組じゃないんですよ。スタッフもいて全体でGRANRODEOになっている。

GRANRODEO始動!

GRANRODEOの成り立ちって、かなり特殊ですよね。お2人でユニットを立ち上げて、インディーズで活動後、メジャーレーベルからお声がかかって…という普通のパターンとはまったく違う。

e-ZUKAそうなんです。だから“こういうことやろうぜ!”みたいな具体的なテーマだったり音楽性は、もともと本当に何もなかったんですよね。主題歌のオファーをいただいて、その作品に沿ったものを自分のフィルターを通して生み出していく、というのが始まりだったから、よくアーティストの人が「そういう大人の事情抜きに作品作りを…」とか言うけど、僕らなんて大人の事情しかない(笑)!

KISHOWGRANRODEOの成り立ちとかインタビューで話すたびに思いますもん。“俺ら、超運いいよね!”って。

e-ZUKAだから結成当初はやる気出しちゃって(笑)。KISHOWは歌詞をバンバン送ってきたりしてましたよ。僕はずっと音楽業界でやってきたけど、彼は初めてだったから。

KISHOWありましたね…そんなことも(笑)。

となると、結成当初からマネージメントはあったんですか?

e-ZUKAいや、KISHOWには声優としてのマネージャーが以前からいましたけど、GRANRODEOに関してマネージメントを担当する会社ができたのは2011年ですね。

KISHOW僕の場合、今も昔もGRANRODEOの仕事はすべて声優として所属している賢プロダクションを通じて連絡が来るんですけど、それで言われた日時にレコーディングスタジオに行ったら、歌詞カードが用意されてなかったりするんですよ。だから自分で「あのー、GRANRODEOですけど、歌詞がありません」って内線かけて頼んだことが、初期は結構ありましたね。あとはツアーで広島に行ったら、来る予定だったスタッフが病気で倒れて、「2人でよろしくお願いします」ってこともあった(笑)。

e-ZUKAなんか“勝手にやってなさい”みたいなスタンスだったんですよね。でも、それが僕らの業界では普通なんですよ。みんな真面目だし、場所と日時を指定されれば、ちゃんと行くし。

GRANRODEO

GRANRODEOは2010年5月3日に初武道館を行ったが、男性声優が歌手として武道館で単独ライブを行うのは、KISHOWが初。(写真は2011年の“G6”時)

右も左もわからない状態で若いスタッフが入ってきて、いつの間にか成長して育っていくのを見るのが面白い。

結成5周年で初武道館

そんな状況下でも、2010年には初の日本武道館ワンマンを開催してるんですから“すごい”と言うしかありません。

e-ZUKAその時点で僕は40才過ぎてたんで、そんな歳を取ってから子供のときにやりたかったことができたのは、すごくうれしいことでしたね。そもそも僕がロックに目覚めたきっかけが、KISSが1977年に武道館に来たときの映像をNHKの『ヤング・ミュージック・ショー』で観たことだったんですよ。初武道館のときは「これが最後かもしれないから」って、それまでGRANRODEOのライブを観たことのなかった親も新潟から呼んで。そしたら、まだ赤ちゃんだった妹の子供が1曲目が始まったとたん瞳孔が開いちゃったみたいで、「危ない!」ってそのままロビーに避難したらしいです(笑)。でも「こんなすごいことやってるんだね」とは言ってもらえました。

KISHOWうちも母方のばあちゃんとかは結構ライブに足を運んでくれていて、近場の広島とか、東京でも大きな会場だと来てくれたりするんですよ。足も悪いのに。孫を観るために寿命が延びてるようなところもあるみたいで、そうやって家族とか親族が喜んでくれてるのを見るとうれしいですね。

ちなみに初武道館は5周年を記念して“G5”というタイトルで行われましたが、翌年にも武道館で“G6”を。8年目からも毎年大きな会場で周年ライブを開催していたのに、7年目だけ行われなかったじゃないですか。そのため5年越しの“G7”が今年の11月12日に沖縄で行われますが、なぜ当時やらなかったんでしょう?

e-ZUKA単純に、周年ライブは不定期でやるものなんだろうと思っていたんですよ。“G5”、“G6”と来て、でも“G7”はやらなかったですから。なのに、結果的に“G8”から毎年やることになって。7だけ抜けてるのはおかしいなってことで、今年やることにしたんです。

レーベル関連会社として事務所設立

それくらい初期は行き当たりばったりだったと(笑)。ただ、初武道館の翌年、2011年には所属事務所のI WILL(現ハイウェイスター)が、ランティスの関連会社として設立されたわけですよね。

KISHOWそうです。ランティスのアーティストが増えたからというのもあるけど、やっぱりGRANRODEOが武道館をやったのはデカかったんじゃないかなぁ。

e-ZUKA実際I WILLができてからは、いろいろと楽になりましたよ。ほかのジャンルで活動していたスタッフが入ることで、仕事の幅も広がりましたしね。たとえば当時のチーフマネージャーはアニソン系をやる前にJ-ROCK業界でやってきた人なんで、彼を通してたとえばBREAKERZであったり、FLOW、X JAPAN、MUCCとかっていうバンドとの交流も持てたんです。

KISHOWそのへん明らかに変わったよね。

e-ZUKAあとは一回マネージャーになったからって、ずっと同じ人を担当するとも限らないじゃないですか。右も左もわからない状態で若いスタッフが入ってきて、いつの間にか成長して育っていって、社内のポジションも上がっていったりする。そういうのを見るのが面白くもあるんですね。

さすが目線が大人というか、あたたかいですね。

e-ZUKA大人だから、若い人の音楽とか感覚がそばにあってほしいんですよ。前のマネージャーも会社の車と自分のiPhoneを同期させていて、乗ると自動的に音楽が流れるようになっていたから、カッコいいなと思った曲は教えてもらったりして、すごく刺激があったんです。そもそも最初に言ったように、GRANRODEOは提示されたものを自分のフィルターを通して出していく作業なので、インプットが不可欠なんですよ。命令されないとやれない!

GRANRODEO

2012年に5thアルバム『CRACK STAR FLASH』をリリース。オリコン上位の常連になってはいたが、ここで初のデイリー1位を獲得した(ウィークリーで3位)。

自分らを面白がって使ってもらうために、一番身近なスタッフをまずはファンにさせなければいけないなと思う。

スタッフとの関係性

そうして様々なフィルターを通ったときに、奇跡的に素晴らしい化学反応ができた稀有なユニットがGRANRODEOだと。

KISHOWヘンテコですよね、本当に。だから説明するのが難しい!

e-ZUKA要するに2人組じゃないんですよ。プロデューサーがいて、マネージャーがいて、A&Rもいて、そのほかのスタッフもいて全体でGRANRODEOという形になっている。だから、誰が言い出しっぺで進めてもいいし、僕らを踏み台にしてもらっても全然かまわない。そもそも僕ら2人だけ放り出されても、まずライブハウスのブッキングの仕方からわかりませんから(笑)。

KISHOWよくよく考えたら、僕もそんなにアーティスト気質じゃないし。メロディがあってこそ言葉が見つかるみたいな地点に、今はきてしまいましたからね。

e-ZUKAそんな2人をどんなふうにプロデュースしていけばいいか?っていうのを、スタッフサイドでは会議していて、結構先の話まで決めてくれてるみたいです。だから、その期待には応えていきたいと思いますよね。それをやらなくなると枯れていくいっぽうになってしまう。もちろん歳相応の音楽をやって枯れてもいいじゃないかっていう意見もあるだろうけど、やっぱりアニソンって観る人もどんどん若い人になっていくんで、音楽も今までにないものを取り入れていかないといけないんですよ。

スタッフを含めてGRANRODEOであり、すべてはお2人をより魅力的にアピールするための戦略であり活動ですもんね。

e-ZUKAそう。スタッフそれぞれにGRANRODEOを使ってやりたいこともあるだろうし、たとえば最近、とある番組でうちの実家にロケに行ったんですけど、もう最初は憂鬱で仕方なかったんです。でも、行ってみたらメチャクチャ楽しくて! だからいろんなことに挑戦したいし、そこでスタッフの期待にも応えたいんですよ。

KISHOWそうやって自分らを面白がって使ってもらうために、一番身近なスタッフを、まずはファンにさせなければいけないなとは思うんです。GRANRODEOのシンガーであり作詞者であるKISHOWという素材をどう料理して、どんなふうにGRANRODEOを見せたいのか? そこでどれだけやる気になってくれるか?っていうのは、全部こっちの魅力にかかっている。

確かに! こちらに魅力がなければ何も進めてもらえない。

e-ZUKAだから結局は好かれたいんですよね。さらに言うと、数ある所属アーティストのなかで一番でいたい。それでレコーディングが終わったときにスタッフみんなと“良いものができた!”っていう喜びを共有できると、すごくうれしいんです。“あ、本当に気に入ってくれてるんだ”って感じられるから。

KISHOWそこはアーティストの心理として重要なところですね。やる側の心理としては、やっぱり反応が欲しいわけですよ。ファンの反応はライブをやれば肌で感じるから、スタッフの反応を知りたい。

e-ZUKAうん。なんかうまくいったことがあればみんなうれしいし、アーティストの幸せを自分の幸せのように感じてもらいたいし、アーティストを素材に自分が何をしたいのか、どんどん言ってきてほしい。イエスマンじゃなくていいんですよ。そのほうがアーティストにとっても刺激になるので。アーティストとスタッフという縦の関係じゃなく、あくまでも“チーム”であってほしいんです。

GRANRODEO

2015年にデビュー10周年を迎え、幕張メッセ2デイズに合計2.5万人を動員。水樹奈々、μ'sに次いで、同年の年間ライブ動員数の声優・アニメ部門3位に。

アーティストの幸せを自分の幸せのように感じてもらいたいし、縦の関係じゃなく、あくまでも“チーム”であってほしいんです。

スタッフに期待すること

なるほど。チームとは良い言葉ですね。

KISHOW“実るほど頭を垂れる稲穂かな”っていう言葉の通り、アーティストだからって我が物顔でのさばっていたら、いつか痛い目を見ますからね。上り調子のときほど謙虚な気持ちでいないといけないわけで、たまに僕もオラオラが出ちゃったときは“恥ずかしいことしちゃったな”って家で1人反省会をするんです。たとえばマネージャーとかってアーティストにつくすだけのイメージかもしれないけど、アーティストが若ければ間違った方向に行かないように誘導することも重要だし、身の回りのことをするのは最低限でいい。アーティストが増長しない程度に求めることに応えて、潤滑油的な存在になってくれればいいんじゃないかなぁ。

e-ZUKAKISHOWの声優のほうのマネージャーを見ていると、相手の好みだとか傾向をよく観察して、先回りしてくれますからね。たとえば僕が微糖の缶コーヒーばっかり飲んでた頃は、頼んでもいないのに絶対置いてあったり(笑)。僕も昔はスタジオミュージシャンの付き人、いわゆるボーヤをやっていて、その人が何を欲しがっているか、何をやりたがっているかを、ずっと気にしていたから、気持ちはわかるんです。マネージメントをする人間にとって、そういう人間観察みたいなところは大切かもしれませんね。

第三者のアイデアに挑戦する楽しみを知り、スタッフの期待に応えたいという謙虚な姿勢。それこそが代々木第一体育館や幕張メッセでのワンマンを成功させるまでにGRANRODEOが大きくなった理由なのではないかと、お話を聞いていて感じました。

e-ZUKAだからGRANRODEOをやれたこと自体が、僕のなかでは人生で一番幸せなことなんですよね。そのなかでも特にうれしかったのが、一昨年のツアーで新潟の長岡に凱旋できたことで。チケットも完売しましたし、幸いなことに健在なうちの親や、生まれる前から知ってる親戚とかも来てくれたんです。

KISHOW同じタイミングで僕も山口に凱旋して、そのとき来てくれた学生時代の友人たちとも、20年振りに交流が復活したんですよ。僕、わりと故郷を捨てるに近い感覚で上京したんですけど、やりたいことができている今、ようやく胸を張って故郷に帰れるし、それを友人たちが喜んでくれてるっていう状況は、GRANRODEOじゃなきゃ味わえなかったことだなぁと。もちろん出発は声優だったけど、その道の途中でGRANRODEOを拾えたのは、すごく意味のあることですね。

チームで育ってきたGRANRODEOとして、では、次の目標は何でしょう?

e-ZUKAやっぱりライブが一番楽しいんで、もっとライブをやりたいですね。そのライブをするためには作品を出さないといけないのでそこもがんばりたいですし、会場としてひとつ目指しているのはメットライフドーム(旧西武ドーム)かな。

KISHOW俺もやりたいと思った! 5月に『うたの☆プリンスさまっ♪』のイベントがあって、僕もメインキャラの声を担当している流れで出させてもらったんですけど、すごく良かったんですよね。ドームといっても完全な密閉状態じゃなく、フタしてるような形だから外の景色が見えるんですよ。特に昼間の明るくて抜けの良い景色を見ながら歌うのがとても気持ち良くて! これはGRANRODEOでもやりたいなあって久々に思った場所だったので、スタッフのみなさん、がんばってください(笑)。

PROFILE

声優の谷山紀章と、J-POP、アニメ、ゲームなどへの楽曲提供を行っているクリエイター飯塚昌明が、KISHOW(vo)、e-ZUKA(g)として結成したロックユニット。2005年にメジャーデビュー。今年8月2日には27枚目のシングル「move on! イバラミチ」をリリース(テレビアニメ『最遊記RELOAD BLAST』OP主題歌)。9月22日(金)23日(土)には日本武道館2デイズ、11月12日(日)には沖縄ミュージックタウン音市場(3Fホール)で周年ライブを開催。

http://www.granrodeo.net/

RELEASE INFORMATION

27th single『move on! イバラミチ』

ランティス/LACM-34625(初回限定盤)/8月2日発売

ランティス/LACM-14625(通常盤)/8月2日発売

ランティス/LACM-14626(アニメ盤)/8月2日発売

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