特集記事

2017.03.15

SPECIAL

特集記事

徹底追及第5弾!!

チケット転売問題について考える

公式のチケットリセールサービス「公式チケットトレードリセール(略称:チケトレ)」が4月にスタート予定!

これまで本誌でも追及してきた、不正の「チケット転売問題」。前号でも触れたが、それに対抗するべく、音楽業界発の公式チケットリセールサービスが、ついにスタートすることになった。音楽ファンのために、音楽のために。今後のその動向には大きく注目したい。

text:柴 那典

「チケット転売問題」の問題点

 昨年8月に「転売NO」の意見広告が全国紙に掲載されて以来、音楽ファンの大きな関心事になっている「チケット転売問題」。その対策のひとつとして、オフィシャルなチケットのリセールサービスがスタートする。名称は「公式チケットトレードリセール(略称:チケトレ)」。サービス開始は4月予定だ。これまではユーザーへの啓蒙活動が主だったが、いよいよ音楽業界側の具体的な取り組みが始まったことになる。そこで、今回の記事では、この「チケット転売問題」について、改めてこれまでの流れと今後の見通しをまとめておこう。
 これまで『音楽主義』ではプロダクション、コンサートプロモーター、アーティストなど、高額転売の弊害に直面している当事者たちの声を届けてきた。そこで問題視されているのは、ライブに行けなくなった人がチケットをほかの誰かに譲る「転売」という行為そのものではない。不当な手段でチケットを買い占め高額転売で利益を出そうとする人によって適正な市場が歪められること、それによって音楽ファンがライブを観るための機会が奪われていることにある。さらに言うなら、大手転売サイトである「チケットキャンプ」がこうしてネット上でダフ屋行為が横行する事態を助長しつつ、テレビのCMを打ったり、Twitterなどのプロモーションを積極的に展開して“公式”のイメージを喚起していることが、この問題をさらに大きなものにしている。
 ただ、意見広告の反響には、業界側に具体的な対策を求める声も多かった。なかでも大きなものは、公式なリセールサイトを作ってほしいという要望。チケットキャンプなど非公式サービスを問題視するのならば、それに代わる、適正価格でチケットを売買できるサービスを整備してほしいという意見だ。
 「チケトレ」はその声に応えるサービスと言える。これまでも、UVERworldやTHE YELLOW MONKEYなどのアーティスト、また“AIR JAM”や“京都大作戦”などのフェスやイベントで、本人確認の厳格化と公式リセールを組み合わせた転売防止策を導入するケースはあった。しかし共通プラットフォームが導入されることで、ユーザーの利便性はさらに高まるはずだろう。『音楽主義』80号に掲載された音制連野村理事とACPC中西会長のインタビューによると「まずは定価リセールから始めて、ユーザーの方々の声を聞きながら運営していくことになる」とのこと。将来的にはアメリカのTicketmasterのように、ある程度の価格変動を認めるサービスになる可能性もあるようだ。

不正購入や高額転売の抑制のために、そしてなりより音楽ファンのために

 いっぽう、2017年に入っても、チケット転売の弊害が表面化する例は相次いでいる。たとえば4月8〜9日に東京ドームで開催されるL'Arc-en-Ciel“25th L'Anniversary LIVE”では、高額転売が禁止され不正転売のチケットは入場不可とされているにもかかわらず、チケットキャンプでは高額の出品が容認されている。しかも未発券かつ席も未確定の状態で「チケットキャンプ公式宣伝部」を名乗るアカウントが「アリーナ席出品」と宣伝ツイートをするなど虚偽の広告もあった。
 また、転売サイトでは偽造チケットの出品も横行している。先日には、コンビニ大手のファミリーマートで盗難もしくは紛失によって所在不明になった正規チケット用紙を利用して作成された“COUNTDOWN JAPAN 16/17”の偽造チケットが転売サイトで販売されていたというニュースも報じられた。
 こうした悪質な転売の温床となっているチケットキャンプがアーティストやプロダクションに無断で行う「応援キャンペーン」も問題視されている。昨年11月にはジャニーズ事務所が抗議文を発表した。
 ただ、これらの問題は、やはり公式の転売市場が整備されていなかったことも一因にあるだろう。エンタテインメント先進国のアメリカでは、前述のTicketmasterのようにチケットの2次流通サービスが普及し市場が拡大している。それにくらべると、価格も一律で数ヶ月前に購入するものにもかかわらず転売もキャンセルも不可であることが一般的だった日本のチケット流通の慣習が、今後より柔軟になることが求められているとも言える。
 今回の「チケトレ」サービスの導入をきっかけに、不正購入や高額転売の抑制が進み、音楽ファンが本来持っていた機会が取り戻されるだろう。

タグ: