現場マネージャー物語

2017.03.15

INTERVIEW

現場マネージャー物語

ONE OK ROCK担当 後藤吉隆さん

#120 ONE OK ROCK担当 後藤吉隆さん株式会社アミューズ

日本のみならず海外のフィールドでも挑戦をし続けているONE OK ROCK。そんなモンスターバンドを支える後藤さんは、マネージメントはもちろん、ライブ制作も積極的に行っており、ライブバンドならではのプランニングを徹底している。海外での体験を含め、マネージメントの極意を語っていただいた。

text:阿刀“DA”大志 photo:岡本麻衣(ODD JOB LTD.)

感動の前に8割の苦労はありますけど、それを苦しいと思うならこの仕事はやれないと思います。

8割大変な思いをして、残りの2割に感動や楽しさがある

音楽業界に入ったきっかけは?

もともと大阪の大学に通っていたんですけど、卒業してプラプラしていたときに見つけたのが大阪のソニー・ミュージックの採用試験で、とりあえず受けてみようかなと。そこでプロモーターとして採用していただいて2年半ぐらい働いたあとに、仕事でつきあいのあったアミューズの方と話をさせてもらって入社しました。

大阪ではどんなお仕事を?

プロモーターとして新譜の音源を持ってラジオ局をまわったり、アーティストが大阪へプロモーションに来たときにアテンドのアシスタントをしたり。そこで音楽のそばにいられる楽しさを知ったり、いろんな個性を持ったアーティストの方々に魅力を感じるようになりました。

ONE OK ROCKのメンバーとの出会いは?

当時、音楽やダンスをやりたい人たちだったり、俳優をやりたい人たちだったり、いろんなアーティストのマネージメントをやっていて、そのときにたまたま出会ったのがメンバーのうちの2人でした。彼らも当時はダンスグループをやっていたんですけど、高校の学園祭で楽器を持って演奏したいっていう話が出てきて、“じゃあ、観に行くよ”っていうところからスタートしました。

彼らとの最初の仕事は?

当時、僕はちょっと音楽から離れていた時期で初めて経験することが多かったので、ブッキングとかの手伝いをしていたぐらいですね。本格的にマネージメントし始めたのは結成1年目ぐらいからで、物販で売るCD-Rの制作を提案したりするようになりました。

最初は苦労も多かったと思います。

“こうなりたい”とイメージしているところに行けないときは苦しいですよね。でも、8割大変な思いをして、残りの2割に感動や楽しさがあるんだと思ってます。

結成当初からずっと偏見との戦いでしたけど、慣れました

やむなく活動を休止している時期もありましたが、マネージャーとしてどういう気持ちでバンドと対峙していたんですか?

僕は活動を再開させることしか頭になかったですね。

実際に動くのはバンドだし、曲を作るのもバンドだし、後藤さんとしては気持ちばかりが急いてしまいそうですね。

でもひとつだけ良かったのは、メンバーが前向きだったんです。一度落ちて、再びがんばるぞという気持ちになってからは曲もたくさん作っていたし、練習もしていたし。周りはネガティブなことばかりでしたが、彼ら自身はポジティブに動こうとしていました。

周囲の偏見を払拭しなきゃいけない状況もありました。

結成当初からずっと偏見との戦いでしたけど、何年も戦っていたので慣れました。でも、くやしい思いは大きかったですね。2010年に日本武道館公演を切ったのはそういった偏見を払拭したいという気持ちもあったんですよ。あの当時の武道館はまだ誰もがやれる場所ではなかったので、そこに立たせたいという気持ちもありました。そこを越えてからは偏見が薄れてきたように思います。

2013年からは海外進出も活発になりますが、海外で活動するうえでマネージャーとしても英語は必要ですか?

必要だと思います。どこの国に行っても使う言葉はほぼ英語ですし、各国の人たちの考え方を知るには英語がわからないといけないと思います。僕は英語がしゃべれないので、間に通訳の人に入ってもらうことでがんばっていくしかないけど、それが正しいとはもちろん思いません。

将来こういう仕事がやりたいなら、今から勉強しておきなさいと。

日本で英語を勉強するぐらいなら、早めに留学して勉強してから戻ってきても、日本で仕事するぶんにはプラスにしかならないと僕は思いますね。

僕はいつもツアーのスケジュールを先に組むんですよ

バンドの規模が大きくなっていくにつれて、後藤さんとしてもなかなか頭が追いつかない部分もあるんじゃないですか?

新しいことに挑戦するうえで当然わからないことがたくさん出てくるので、日々勉強していかないといけないですね。たとえば海外の雑誌を読んだりとか。あと、すごいことをやっている国内や海外のバンドのやり方を学んでいきたい部分もあります。まったく同じにはならなくてもそれを真似てみても間違いではないし、先駆者の方たちの活動を勉強することは大事だと思います。

どういうことが仕事のモチベーションになってますか?

これから始まるツアーは2年越しにリリースした作品を持ってまわるものなので、作品がどういうふうにお客さんに受け止められているのかを見るのが次のコンサートを組み立てるモチベーションになりますね。僕はいつもツアーのスケジュールを先に組むんですよ。

数年先のスケジュールを。

はい。だから、必然的に“これだけ大きい会場を切ったからがんばってプロモーションしないと”っていう気持ちになりますね。CDのチャートの順位とかはどうでもよくて、それよりも大事なのはどれぐらいの人が聴いてくれているのかということで。“これぐらいお客さんが聴いてくれてるということは、これぐらいの人数は来てくれるのかな”とか。

じゃあ、今回の『Ambitions』の結果を受けて、次のツアーをどう組むか決める。そして、ツアーを組んだらそれに向けて音源制作を始めるという。

今はそこに海外も入ってくるから、もうひと手間かかるんですよ。ツアーを始めるのが日本からなのか、アメリカなのか、ヨーロッパなのかでだいぶ変わってくるので。でもそういうプランニングをするのは楽しいですね。

柔軟であり、アイデアマンであり、マーケティング力のある人

音楽面で助言することはありますか?

メンバーが作るものを僕は信用しています。ただ、誰よりも彼らのコンサートを観ているという自負があるので、“このタイミングだったらこの曲のほうが盛り上がるんじゃないか”というようにセットリストに関してアドバイスすることはありますね。

マネージャーの醍醐味は?

規模がどうであれ、ステージに立つアーティストとそこに感動してくれるお客さんがいる空間を作る舵取りの1人になれること。その前に8割の苦労はありますけどね(笑)。それを苦しいと思うようならこの仕事はやれないと思います。

昨年の渚園ライブもすごい規模でした。

ステージを作ることだけじゃなくて、会場をどう整えるか、お客さんの導線をどうするか、バスの停留所はどこに置くのがベストなのか…ひとつのフェスを作るようなものでしたね。僕たちはライブに制作を入れてなくて、もちろん細かいことをやってくれる優秀なスタッフはたくさんいますけど、基本的には僕が全部を見るようにはしています。大変ですけど、人に任せるよりはそのほうが面白いと思います。

理想のマネージャー像は?

柔軟であり、アイデアマンであり、マーケティング力のある人。それがすべて揃っている人はすごいだろうなと思います。

今後の目標は?

今年、日本では全国のアリーナをまわらせてもらいますけど、国を問わずその規模でまわっていけるようになるのが夢ですね。

カバンの中身拝見!

カバンの中身拝見!

大きなリュックを愛用。スケジュールは基本的に紙で管理している。海外公演も多いためパスポートも常備。ライブ現場でメンバーと同様に中音を確認できるようイヤーモニターも特注で製作し持ち歩いているそうだ。

カバンの中身拝見!

1. PC(Mac)
2. ハードディスクケース
3. メガネケース
4. スケジュール表
5. アダプター
6. イヤーモニター

7. イヤホン
8. iPhone
9. スマートフォン
10. パスポートケース
11. 手帳
12. 資料

ONE OK ROCK

ONE OK ROCK

2005年に結成された4ピースバンド。エモやロックを軸に据えた音楽性と、激情的なライブが支持されている。現在は“ONE OK ROCK 2017 “Ambitions” JAPAN TOUR”を敢行中。

Promotion within 100characters

後藤さん、担当アーティストを100Wでプロモーションしてください!

ONE OK ROCKは音楽を伝える柔軟な姿勢もあれば、ライブを含めて何をするにも必ず伝えたいものを持っているバンドだと思います。そして常に一歩先を見続けているバンドじゃないでしょうか。

最新作はコレ!

8th album『Ambitions』

8th album『Ambitions』

A-Sketch/AZZS-56(限定盤)、AZCS-1062(通常盤)/発売中

タグ: