音楽未来

2017.01.19

INTERVIEW

SCANDAL

vol.36 SCANDAL
-ガールズバンド開拓の10年-

2016年8月に結成10周年を迎えたSCANDAL。2008年に制服風 コスチュームを身にまといメジャーデビューし、その後のガールズバンドブームの 先駆け的存在となった。全員が口をそろえて「5人目のメンバーとも言える」と 話すマネージャーとの出会いや、転機となった出来事を振り返りながら、 音楽活動だけにとどまらないSCANDALの10年を解析する。

text:ふくりゅう(音楽コンシェルジュ)

 日本を代表するガールズバンドSCANDALが結成11年目を迎えた。大阪と名古屋のキャレスボーカル&ダンススクールで出会った4人が、楽器を手にしたことでスタートしたバンドヒストリー。“現役女子中高生バンド”として制服をステージ衣装にインディーズ時代から海外ツアーを実現し、メジャーデビュー3日目にして『ミュージックステーション』出演という大舞台を経験。時は流れて10年が経過。今ではSCANDALの影響でガールズバンドを志すフォロワーもたくさん増えた。男子中心のバンドシーンに風穴を開けるがごとく、ロックフェスでの躍進はもちろん、「テイクミーアウト」など新境地サウンドも魅力的だ。そんな彼女たちにバンド視点からのマネージメントとの関係性について聞いてみた。

4人で音を合わせることが楽しかったんです。今思えば、それが毎日のモチベーションでしたね。

5人目のメンバー

アーティストにおけるマネージャーの存在ってどんなものですか?

HARUNA今のマネージャーとの最初の出会いは2008年の春でした。私たちが初めてアメリカツアーをまわったあと、日本に帰ってきてすぐに会ったんですよ。

RINA英助(現マネージャーの多賀英助)になる前に、何人かマネージャーさんがついてくれていたんですが、数ヶ月で変わったり、まあ、短いスパンで交代していくのかなって感覚があったんです。なので、こんなに長く一緒にいられると思ってなかったですね、最初は。

なるほど。

RINAでも彼が加わってくれてバンド活動の仕方とか決め方が全部変わりました。チーム全体で考えて決定するスタイルになったんですよ。それまでは事務所やレコード会社の人の“こういうことが決まったからやろう”っていう提案を実行していく感じだったんですけど、今は自分たちからもアイデアを伝えて、一緒に決めていくスタイルに変わりました。

バンドメンバーとマネージャーって運命共同体というか、5人目のメンバーぐらいな感覚ってありますか?

RINAあ〜、そうですね。めちゃくちゃあります。

MAMIあります。

世代的にも近いわけですよね。

HARUNA私は年齢も3つしか変わりませんから。

MAMI自分たちはもともとダンススクールに通っていて、最初はバンドとしてデビューしたいという目的ではなかったので、バンドをやるとなったとき、イロハを何も知らなかったんですね。英助は、もともとミュージシャン志向が強かったから、ロックをいっぱい聴いて育ってきてるのでアイデアを持っていて。バンドをやるうえでの軸を教えてもらいましたね。

RINA新曲を作るときも5人で話すし、こんなツアーまわってみようよとか、このタイミングで海外行こうよとか、全部5人で決めてるんです。うん、本当にメンバーですね。ステージに上がっていないだけで。

TOMOMIこうなる前の体制はある種ちょっと芸能っぽかったかもしれません。カルチャーっぽく海外に出ていくために、制服コスチュームを着て興味を持ってもらおうって考えだったり。いろんな戦略があったんですけど、英助はステージマンを目指していた人なので、一緒に夢を見られたというか。どう活動したほうがカッコいいかっていう、バンドとしての道筋を作ってくれたような気がします。

マネージャーの存在

バンドにとって、やはりマネージャーの存在は大きいですか?

HARUNA英助がいなかったら10年続いてなかったと思います。名前も呼び捨てにしてるくらい距離感は近いですね(笑)。

みんな、そうみたいですね。

一同(笑)。

HARUNAマネージメントとは家族のような距離感だからこそ、今まで続けてこられたんだなと思っています。

RINA影響は大きいですね。それこそ、私なんて最初邦楽しか聴いてなくてモーニング娘。や浜崎あゆみさんが好きだったので、洋楽にしっかり触れたきっかけは英助でした。逆に向こうは自分たちが聴いている邦楽を聴いてくれるようになったり、好きな音楽が交換できたのも大きかったです。

でも世代が近いとケンカしたりとかはないんですか?

RINAケンカめっちゃします。

一同(笑)。

MAMIだから本当にバンドメンバーと近い存在ですねぇ。

HARUNAあくまでも向上するためのね。お互い意見をぶつけ合うっていう。

TOMOMI本気だったら絶対ぶつかるんですよ。

SCANDAL

結成から約2年後の2008年10月にシングル「DOLL」でメジャーデビュー。その3日後には『ミュージックステーション』への出演も果たした。

10年前はバンドをやっている女の子が少なかった。対バンするにしても男の人たちがメインだし、居場所がないなかで続けてきたなって思っています。

活動のモチベーション

SCANDALはガールズバンドムーブメントの先駆者であり、海外活動など、近年の音楽シーンにおける開拓者だと思いますが、どんなモチベーションでこの10年間戦ってこられたのでしょうか?

HARUNA結成当初は日々ついていくだけで精一杯でした。4人で楽器を鳴らすだけでも大変だったので。10年後のことなんて全然想像もできませんでした。でも4人で音を合わせることが楽しかったんです。今思えば、それが毎日のモチベーションでしたね。海外展開とかテレビ出演だったり、いろんな方々のサポートがあるなかで少しずつ目標を見つけていって、じゃあ次はどこどこでライブしたいとか、それこそ城天でストリートライブをやってたときは目の前にあった大阪城ホールが目標でしたし。

MAMI最初の頃、ミドリとか全然違う畑で戦っているカッコいいバンドと異種格闘技戦みたいなライブをやっていたんです。そんな積み重ねから“なんか変わったガールズバンドがいる”みたいに広がっていったんですね。ライブ好きな人たちの間で“制服を着て演奏してる若いバンドがいる”みたいな。そういうひとつひとつのライブで学べたことがモチベーションになっていました。

楽器がうまくなるコツみたいなのは?

MAMIいやぁ、めっちゃへたくそでしたから(苦笑)。

RINAみんな独学ですからね。

HARUNA楽器を初めて手にした当時、みんな学生だったので、週末に大阪のスクールに集まったり、冬休みや夏休みに合宿して練習してました。

TOMOMI家に帰ったら寝るだけみたいな生活で、ギリギリまで練習してました。

ターニングポイント

SCANDALの活動において、スイッチが入った瞬間ってどんなときでした?

RINAデビューしたその週に『ミュージックステーション』に出たんですよ。さすがにそのときはデビューした実感がありましたね。

MAMI武道館や大阪城ホールでライブをできるようになって、ガールズバンドと言われるグループが増えてきたときに実感がわいてきたことはあります。10年前は周りでバンドをやっている女の子が少なかったんですよ。ライブハウスで対バンするにしても男の人たちがメインだし、居場所がないなかで続けてきたなって思っています。

HARUNAそうですね。それこそ結成した時点では周りのスタッフがしっかり計算してくれていたので。あ、「計算」って言い方がいいかわからないんですけど、でも今の事務所の会長が“ガールズバンドを作りたい、デビューさせるんだ!”って決めていて、そこに私たちが集められたので、ある種スイッチははじめから入っていたのかなって、振り返ると思いますね。

特殊なスタイルのデビューだったわけですもんね。

HARUNA最初は顔を出さずにイラストだったり、写真を撮るときも髪の毛で顔を隠したり、制服でデビューとか、事務所やレコード会社が私たちをどういうふうに作っていくかっていうのを、すごく真剣に考えてくれたおかげで私たちはレールに乗っていただけだったんです。でも、どのタイミングで自分たちの意志を持って活動していくのかっていうのは第2のターニングポイントになったと思います。結果、みんなでちゃんと考えてこられた、確信に満ちた10年だったなって思っています。かかわっていただけた方々に感謝ですよね。

TOMOMIインディーズの頃なんて、本当に何もわからないままアメリカに行ってたんですよ。SXSWっていうテキサスのオースティンで行われたイベントの後夜祭みたいなのに出させてもらって。大変だったんですけど、すごく楽しかったんです。と同時に、自分たちは英語もしゃべれないし、海外の文化も知らない状況でライブパフォーマンスをしていて。その後、すぐに英助に出会って少しずつ考え方や活動の仕方が変わっていったんですね。そこからバンドについて自分たちで考えるようになりました。

SCANDAL

2013年3月には、長年の夢であった大阪城ホール公演を開催。同年10月にリリースされたアルバム『STANDARD』ではメンバーも制作に大きくかかわった。

やれることが少しずつ積み重ねで増えていって、ようやく10年目にして全部自分たちでできるようになったっていうのが成長かなぁ。

10年目の成長

自分たちのなかで成長を感じられたSCANDALの作品ってどんな感じですか?

RINAなんやろな〜。アルバムで言うと最近なんですけど『YELLOW』はとっても大きな1枚になりました。毎年、海外をまわって日本でもツアーをして、好きな音楽もどんどん増えているなか、自分たちができるポップロックなアルバムを作ろうと思って完成した1枚でした。なんていうか、自由が似合うバンドになりたいと思ったんですよ。そんなマインドに切り替わってから音楽を作るのが楽になってきて。音楽をやる前はスポーツをやっていたので順位をつけられる世界だったんですね。幼稚園からバンド組む中学3年生まではそんな世界で生きていて。音楽にもランキングはあるけど、順位で決められる世界ではないですよね。なので、ちゃんとハートが届く作品を作りたいって思ったんです。で、「ちいさなほのお」って曲で歌詞を書いてMAMIが曲をつけてくれたんですけど、こういうふうに音楽作りをしたいって思えたんです。自分らしい詞が書けたなって1曲ですね。

MAMIそうですね、いっぱいあるなぁ…。自分たちが制作に大きくかかわるようになったのが『STANDARD』ってアルバムで、それ以降だんだん割合が増えていって。その後『YELLOW』という全部自分たちで作詞作曲したアルバムができたんですね。やれることが少しずつ積み重ねで増えていって、ようやく10年目にして全部自分たちでできるようになったっていうのが成長かなぁ。制服姿でデビューした女子4人組という、なんやかんやコンプレックスがめちゃくちゃあったんですよ。バンドなのに作詞作曲をしていないってバンドじゃないんじゃないか?みたいな。この数年でガラッと変わったなって思いますね。

HARUNA成長という意味ではいつでも最新作ですよね。シングルだと「テイクミーアウト」だし、アルバムだと『YELLOW』。でも、10年のなかで自分の歌に対して悩むことが結構あって。自分の歌がCDになって世界中に届くっていうのと世界中の人からの評価があるって考えたときにちょっと怖くなってしまったことがあって。それであまり納得いく歌が歌えなくなった時期がありました。それを乗り越えられたアルバムが『YELLOW』なんです。メンバーがいろんな曲を作ってくれたおかげで幅の広い作品となりました。それに伴って自分の歌も変化できたんですね。自分自身の歌に対しての向上心がここ数年めちゃくちゃ上がったなって思ってます。

TOMOMIデビューしてからずっといろんなことにチャレンジし続けているんですよ。バラード出したり、マイナーなロックもやれば、歌謡曲みたいなのもやったり。何もかも受け入れて何もかもを表現しようとしてきたんです。その瞬間瞬間の爆発力やインパクトを大事にしてきました。でも、そういうふうに活動していると“自分たちって何なんだ?”っていう時期にぶつかるんです。自分たちはコレっていう代名詞が見つからなくて、やっぱり点と点を結ぶ作業が必要だって気づきました。それで、自分たちがバンドを始める前のルーツだったり、自分たちのなかに根付いてるものを素直に入れてみようって作ったのが『HELLO WORLD』や『YELLOW』などここ最近の作品ですね。

SCANDAL

2016年3月にリリースされたアルバム『YELLOW』収録の楽曲はすべてメンバー自身が作詞作曲したもの。結成10年にして初の試みとなった。

ガールズバンドって世界的にはマイノリティなんです。日本のポップカルチャーのアイコンとして根付いていってほしいですね。

独自のスタイルを確立

振り返ると、バンドとしてアイデンティティを模索し続けてきた10年なんですね。それこそSCANDALは、バンドコンテストを主催したり、今やSCANDALに憧れる子やガールズバンドが増えてきましたよね。

RINA自分たちがバンド始めたときは女の子バンドが少なかったので、ガールズバンドというジャンルというかムーブメントみたいなものができたのはうれしかったです。

TOMOMI海外で取材を受けていて実感するんですけど、ガールズバンドって世界的にはマイノリティなんです。必ず「どうして女の子なのにダンスグループをやらずにバンドを選んだんだ?」って聞かれるんです。でも、日本に帰ってくるとガールズバンドが増えている状況があって。日本のポップカルチャーのアイコンとして根付いていってほしいですね。

HARUNAバンドに限らずですけど、独自のスタイルを見つけるのってすごく大きいなと思っていて。自分たちも今音楽だけじゃなくてアパレルをやっていたり、渋谷にお店をオープンしてそこでグッズ販売をしているんです。たとえば、音楽からじゃなくてもロゴは知ってるみたいな。ローリング・ストーンズのロゴは知ってるけど、音楽は聴いたことない人もいるじゃないですか? でもTシャツは持ってるみたいな。いろんな入口を作っていけたらなって思っています。グループそれぞれのやり方を見つけることって大事ですよね。

それは、バンドを志す次世代の子たちにとっても、いいアドバイスになりますね。2017年のSCANDALはどんな活動を?

RINAまず47都道府県ツアーが決まっていて、全国で53公演、ライブハウスでお客さんと近い距離感でやります。鍛えられると思いますね。その後は、フェスがあったりライブを中心に組み立てていきます。

MAMI2月にベストアルバムを出します。人気投票を受け付けていて上位の曲たちを入れるんですけど、そこに新曲も入れます。早く聴いてほしいです!!!

PROFILE

2006年、大阪京橋で結成。2008年にリリースされたシングル「DOLL」でメジャーデビュー。翌年6月にリリースされたシングル「少女S」でレコード大賞新人賞を受賞。2015年には世界9ヶ国41公演におよぶ初の単独ワールドツアーを成功させた。2016年8月に結成10周年を迎え、大阪泉大津フェニックスにて野外コンサートを開催。2017年2月15日には初のセルフタイトルとなるベストアルバム『SCANDAL』をリリース。同作を引っ提げ、3月11日(土)熊本B.9 V1を皮切りに“SCANDAL TOUR 2017『SCANDALの47都道府県ツアー』”がスタートする。

http://www.scandal-4.com/

RELEASE INFORMATION

best album『SCANDAL』

EPIC/ESCL-4810〜4812(完全生産限定盤)、ESCL-4813〜4815(初回生産限定盤)、ESCL-4816〜4817(通常盤)/2月15日発売

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